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寄託先美術館の設置者と特定美術品の寄託契約を締結し、認定保存活用計画に基づきその特定美術品をその寄託先美術館の設置者に寄託していた者から相続又は遺贈によりその特定美術品を取得した寄託相続人が、その特定美術品の寄託先美術館の設置者への寄託を継続する場合には、その寄託相続人が納付すべき相続税額のうち、その特定美術品に係る課税価格の80%に対応する相続税額については、その寄託相続人に死亡等の日までその納税を猶予する(措法70の6の7①)。
なお、寄託相続人は、3年毎に、継続届出書に寄託先美術館の発行する証明書を添付して税務署長に提出しなければならない(措法70の6の7⑨)。
また、当該相続に係る相続税の申告書の提出期限までに、共同相続人又は包括受遺者によってまだ分割されていない特定美術品については、この特例の適用を受けることができない(措法70の6の7⑦)。
備考
「寄託先美術館」とは、博物館又は博物館に相当する施設として指定された施設のうち、特定美術品の公開及び保管を行うものをいう(措法70の6の7②五)。
「認定保存活用計画」とは、一定の事項が記載されている認定重要文化財保存活用計画又は認定登録有形文化財保存活用計画をいう(措法70の6の7②三)。
特定美術品の範囲
この特例の適用の対象となる特定美術品とは、①重要文化財として指定された絵画、彫刻、工芸品その他の有形の文化的所産である動産又は②登録有形文化財(建造物を除く。)のうち世界文化の見地から歴史上、芸術上又は学術上特に優れた価値を有するものをいう(措法70の6の7②一)。
納税猶予分の相続税額の計算
次の(1)に掲げる金額から(2)に掲げる金額を控除した残額が納税猶予分の相続税額となる(措法70の6の7②六、措令40の7の7④~⑦)。
納税猶予税額の免除
この特例の適用を受ける寄託相続人が死亡した場合や寄託先美術館に対するその特定美術品の寄贈又は自然災害によるその特定美術品の滅失があった場合には免除される(措法70の6の7⑭、措令40の7の7○24)。
納税猶予の打ち切り
この特例の適用を受ける寄託相続人若しくは特定美術品又は寄託先美術館について次に掲げる場合に該当することとなったときには、それぞれ次に定める日から2月を経過する日が納税猶予に係る期限となる(措法70の6の7③、措令40の7の7⑭⑮)。
利子税の納付
この特例の適用を受けた寄託相続人は、納税猶予税額の全部又は一部を納付する場合には、納付する税額を基礎とし、相続税の申告書の提出期限の翌日から納税猶予の期限までの期間に応じ、年3.6パーセントの割合を乗じて計算した金額に相当する利子税を納付しなければならない(措法70の6の7⑯)。