- (1) 概要
受贈者(30歳未満の者に限る。)の教育資金に充てるためにその直系尊属が金銭等を拠出し、取扱金融機関に信託、預貯金の預入又は有価証券の購入をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者1人につき1,500万円(このうち学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とする。)までの金額に相当する部分の価額については、平成25年4月1日から令和5年3月31日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さない(措法70の2の2①)。ただし、受贈者の前年分の所得税の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、この特例は適用されない(措法70の2の2①ただし書)。 - (2) 払出しの確認等
受贈者は、払い出した金銭を教育資金の支払に充当したことを証する書類を取扱金融機関の営業所等に提出等しなければならない。また、取扱金融機関の営業所等は、提出等がされた書類により払い出された金銭が教育資金に充当されたことを確認し、その確認した金額を記録するとともに、その書類及び記録を受贈者に係る教育資金管理契約が終了した日の翌年3月15日後6年を経過する日まで保存しなければならない。 - (3) 終了後
- ① 受贈者に係る教育資金管理契約が終了した場合
- イ 調書の提出
取扱金融機関の営業所等の長は、この特例の適用を受けて信託等がされた金銭等の合計金額(以下「非課税拠出額」という。)及び契約期間中に教育資金として払い出した金額(上記(2)により記録された金額とする。)の合計金額(以下「教育資金支出額」という。)その他の事項を記載した調書を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 - ロ 残額の扱い
非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額については、受贈者に係る教育資金管理契約が終了した日に贈与があったものとして贈与税を課税する。
- ② 受贈者が死亡した場合
- イ 調書の提出
金融機関は、受贈者の死亡を把握した場合には、その旨を記載した調書を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 - ロ 残額の扱い
非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額については、贈与税を課さない。
- (4) 期間中に贈与者が死亡した場合の取扱い
信託等があった日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合(その死亡の日において次のいずれかに該当する場合を除く。)には、その死亡の日における非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額は、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、当該贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算する。なお、当該加算された金額は、教育資金支出額とみなす。 - ① 当該受贈者が23歳未満である場合
- ② 当該受贈者が学校等に在学している場合
- ③ 当該受贈者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合
取扱金融機関とは、信託会社(信託銀行を含む。)、銀行等及び第一種金融商品取引業者をいう。
教育資金とは、文部科学大臣が定める次の金銭をいう。
- ① 学校等に支払われる入学金その他の金銭
- ② 学校等以外の者に支払われる金銭のうち一定のもの
受贈者は、本特例の適用を受けようとする旨等を記載した教育資金課税申告書を取扱金融機関の営業所等を経由し、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(4)の残額のうち次の信託受益権等の価額に対応する部分は、相続税の課税価格に加算されない。
- ・平成31年3月以前に信託等により取得した信託受益権等
- ・平成31年4月から令和3年3月までに信託等により取得した信託受益権等(当該贈与者の死亡前3年以内に取得したものを除く。)
また、当該残額のうち平成31年4月から令和3年3月までに信託等により取得した信託受益権等(当該贈与者の死亡前3年以内に取得したもの)に対応する部分に係る相続税は、左の規定にかかわらず、相続税額の2割加算の対象外とされる。