※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[全文公開] 所得金額調整控除と特別障害者

( 60頁)

平成30年度改正により年収850万円を超える給与所得者は,令和2年分以後の所得税について給与所得控除額の上限が一律195万円に引き下げられる。ただし,23歳未満の扶養親族を有する場合は「所得金額調整控除」が設けられる。また,特別障害者に該当するもの,特別障害者である同一生計配偶者や扶養親族を有する場合も所得金額調整控除の対象となる。

特別障害者とは,所得税法上における「特別障害者」について,身体障害者手帳に身体上の障害の程度が1級又は2級である者として記載されている者等のほか,市町村長が要介護度や日常生活の自立度等を参考に認定した者が特別障害者とされる( 所法2 ①二十九)。

平成30年度改正により,特別障害者である扶養親族等を対象としたのは,介護世帯への配慮を行うべきという要請を踏まえ,身体上の障害の程度が一定以上の者等についても配慮する必要があるという背景による。また,年末調整事務を行う企業の事務負担にも配慮する必要があることから,現行の特別障害者控除の仕組みを活用することとされた。

所得金額調整控除については,給与所得者の給与収入(給与収入が1,000万円を超える場合は1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を給与所得の金額から控除するもの。例えば,給与収入900万円の場合は5万円(=(900万円-850万円)×10%)となり,給与収入1,000万円の場合は15万円(=(1,000万円-850万円)×10%)の計算となる。給与収入1,000万円超の場合も同様に15万円となる。

なお,最大15万円を控除できる所得金額調整控除の適用に当たり,給与所得者は年末調整において,特別障害者に該当する旨など所定の事項を記載した「所得金額調整控除申告書」を給与支払者へ提出しなければならない( 措法41の3の4 )。