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[全文公開] フードバンクへの食品の寄附

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いわゆる食品ロス削減推進法が5月31日に公布されるなど,“食品ロス(まだ食べられるのに廃棄される食品)”の削減を推進する動きが広がっている。フードバンク事業を行うNPO法人等と連携する地方自治体もあるようだ。

企業がフードバンクに対して食品を提供した場合の費用は,一定の要件を満たせば,税務上の寄附金には該当せず,食品の発送費等も含めて廃棄損として処理することが可能だ。

フードバンクとは,廃棄される食品を引き取り,福祉施設等に無料で提供等する団体のこと。最近では,給食のない夏休み中に,経済状況の厳しい家庭に食品を提供するなどといった取組も行っているという。

企業がフードバンクに対して食品を提供した場合の費用を廃棄損として処理するための要件は,①社内ルール等に基づく商品の廃棄処理の一環で行われる取引であること,②フードバンクとの合意書に,食品の転売等の禁止や,取扱いに関する情報の記録・保存,結果報告等のルールを定めており,提供した食品が目的外に使用されないことが担保され,その使途が確認できること,の2つである(国税庁:質疑応答事例『フードバンクへ食品を提供した場合の取扱い』)。

ここでいうフードバンクに対して食品を提供した場合の費用とは,「提供した食品の帳簿価額」のことである。このほか,企業が負担した「食品の発送費等」も含まれるとのことだ。

また,こうした税務メリットを受けるには,企業とフードバンク間のルール作りがポイントの一つとなるところ,農林水産省が「フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引き」を公表しており,ルール作りの参考となろう(農水省HP:ホーム>食料産業>リサイクル食品ロス>食品リサイクル・食品ロス>食品ロスの削減>フードバンク>5.フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引き)。