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[全文公開] 商業等活性化税制と売上高等の伸び率の達成

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中小企業等の稼ぐ力を底上げする施策の一つに「商業等活性化税制」がある。経営改善指導助言書類に記載された経営改善設備の取得等をした場合,一定の特別償却又は税額控除が受けられるという措置だ。平成31年4月1日以後は,同書類に“設備投資等により年2%以上の売上高又は営業利益の伸びが達成できるという見込みを認定経営革新等支援機関等(アドバイス機関)に確認してもらう”という要件が加えられた。数字の見通しや改善効果が見込まれる期間等を,同書類に記載しなければいけないが,数字を達成したか否かは,同税制の適否に影響しない。

同書類については,次のように定められている。「……認定経営革新等支援機関による……指導及び助言を受けた旨を明らかにする書類として財務省令で定めるもの」( 措法42の12の3 ①)。省令では,“アドバイス機関の名称や代表者の氏名等”,“指導や助言に基づき取得等した設備等の明細”,“その他参考となるべき事項”( 措規20の8 )などの記載事項が掲げられているだけだ。条文上,数字の達成については特段の記載がない。

そもそも追加された記載事項の要件とは,“アドバイス機関から交付される書類(経営改善指導助言書類)”に必要とされる要件だ。すなわち,書類上の要件として“売上高等の数字を達成する見込みがあることを確認してもらうこと”が必要とされているものの,税務上の要件として“数字を達成”したか否かは問われていない。したがって,税務当局が,アドバイス機関等から同書類の交付を受けているかどうかを確認することはあっても,数字の達成に関して,根拠書類の提出を求めるようなことはないという。

なお,同税制の適用を受ける場合,確定申告時に経営改善指導助言書類の写しを添付する必要があることに留意したい( 措令27の12の3 ⑥, 措規20の8 ⑥)。