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[全文公開] 新サービス開発と情報解析専門家

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近頃,ビッグデータを活用したビジネスが一般企業にまで広がり始めているが,こうした第4次産業革命型の新サービスの開発にかかる試験研究費は,既に,平成29年度改正によって研究開発税制の対象に含められている。ここで重要となるのが人件費の取扱いだ。

新サービスの開発に係る試験研究では,対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究(情報の収集,分析,設計,確認)のために要する一定の費用(原材料費,人件費,経費等)が試験研究費として認められる。ただし,このうちの多くを占める人件費は「情報解析専門家」に係るものに限定されている( 措法42の4措令27の4措規20 )。

「情報解析専門家」とは,情報の解析に必要な確率論及び統計学に関する知識並びに情報処理に関して必要な知識を有すると認められる者(いわゆるデータサイエンティスト)をいう。ただ,「確率論」,「統計学」,「情報処理」について,どこまでの知識を持っていれば「情報解析専門家」と認められるかについては,法令上,明示されていない。

この点,試験研究で取り組む内容は画一的なものでないため,法人が,新サービスの開発に係る試験研究を行う上で,ある従業員がこれらの知識を有すると判断し,その従業員を試験研究の業務に当てた場合,その従業員は「情報解析専門家」と考えて差し支えないという。また,法人が,これらの知識を有すると判断した根拠についても,「必ずしも情報処理技術者試験等の資格や学歴によるものである必要はなく,例えば,過去の職務において同様の知識を必要とする業務を行っていた場合や,研修,OJT等により必要な知識を習得したと認められる場合」も含まれるということだ(経産省「サービス開発にかかるQ&A」)。

ただし,上記の「確率論」,「統計学」,「情報処理」に関する知識は,これらを一人で全て有している必要があるため留意したい。