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[全文公開] 電気通信利用役務の提供と請求書等の保存

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電子書籍・音楽・広告の配信やクラウドサービスなど,インターネットを介して行われる役務の提供等は,消費税法上の「電気通信利用役務の提供」に該当する。この電気通信利用役務の提供は,提供を 受ける者 が日本の居住者等である場合は,提供者が国内事業者・国外事業者いずれであっても「国内取引」に該当し消費税の課税対象になる。

電気通信利用役務の提供は,取引の内容等に応じて①事業者向け取引と②消費者向け取引に分類され,②の消費者向け取引に該当するものは,原則,仕入税額控除の対象外。ただし,サービスの提供を行う国外事業者が日本において登録を受けている事業者(登録国外事業者)である場合に限り,控除が認められている( №35683569 )。

この点,登録国外事業者から提供を受けたサービスについて仕入税額控除をする場合は,「登録国外事業者の登録番号」や「課税資産の譲渡等を行った者が消費税を納める義務がある旨」など一定の事項が記載された請求書等を保存することが要件とされている(27年改正法附則38①②)。仮に,記載内容に不備があった場合,国内事業者が自ら追記することでの対応などは認められず相手方に対し再交付を求めなければならない(27年改正法附則38⑤)。

ただ,支払対価の額(税込金額)が3万円未満のものについては,「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」「課税仕入れを行った年月日」「支払対価の金額」など一定の事項が記載された帳簿のみの保存でよいこととされている( 消令49 )。つまり,取引金額が3万円以上のものについてのみ登録国外事業者から交付された請求書等の保存義務が課されるということだ。