※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[全文公開] 技能実習生の雇用契約と居住者判定

( 45頁)

日本の技術等を学ぶために来日した外国人技能実習生のうち,来日2年目以後も日本に在留する実習生は全体の約3割にのぼる。

実習生は,所得税法上の「居住者」に該当することで税務メリットがある場合も多いところ,来日当初から「居住者」に該当するには,来日時点で“2年目以後の雇用契約”を締結しておくことがポイントとなる。

実習生に支払う給与等について,中国出身の実習生以外は,基本的に租税条約等による免税の恩恵はないため,所得税の課税対象となることが原則だ。その実習生が「居住者」の場合は累進税率,「非居住者」の場合は国内源泉所得として20.42%で源泉徴収する。

実習生は,受入れ企業等からの給与のみしかないことが一般的なため,「居住者」に該当する方が,所得税率が低くなることが多いようだ。

実習生の居住者判定は,いわゆる「住所の推定規定( 所令14 ①)」により行うことになる。例えば,1年未満で帰国する実習生(技能実習1号)の場合,住所の推定規定「継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること」を満たさないため,一般的には「非居住者」に該当する。

一方で,2年目以降の在留を予定して来日した実習生については,来日当初から「居住者」に該当する余地もある( №3581 ・2頁)。

ただし,単に2年目以降の在留を 予定 しているだけでは,住所の推定規定を満たすとはいえない。例えば,来日時点で“2年目以降の雇用契約”を締結するなど,その実習生が「継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること」を明確にしておくことがポイントだ。

「居住者」として源泉徴収していたにもかかわらず,実際には「非居住者」として源泉徴収すべきとして指摘されるケースも想定されるため,個々の実習生の雇用契約等を確認しておくべきだろう。