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[全文公開] 賃貸マンション等の駐車場と課非判定

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賃貸マンションやアパートなどの集合住宅には,駐車場が付いているケースも多い。特に,車社会の地方では,集合住宅に駐車場は“当たり前”と言えよう。

駐車場のように独立して賃貸借の目的となる施設の貸付けは,原則,住宅の貸付けには含まれず消費税の課税の対象となる。しかし,次の要件を全て満たした場合には,その駐車場部分を含めた全体が住宅の貸付けに該当する( 消費税法基本通達6-13-3 )。

①集合住宅に係る駐車場で入居者について1戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されており,かつ,②自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられる等の場合で, ③住宅の貸付けの対価とは別に駐車場使用料等を収受していない。

このうち要件③は,賃貸マンション等の賃貸借契約書と駐車場の契約書が別個になっているケースは分かり易い。この場合,明確に,住宅の貸付けの対価とは別に駐車場使用料等を収受しているため,要件③を満たさず,駐車場使用料は課税となる。

判断に迷うのは,賃貸マンション等の一つの賃貸借契約書の中で,駐車場使用料の内訳が示されているケースだ。この場合,「住宅の貸付けの対価とは別に駐車場使用料等を収受していない」と言えるかどうか迷うところだが,契約書等において賃料の明細として「〇〇利用(使用)料××円を含む。」との表示がある場合の当該表示された金額は,「賃料とは別の名目で収受する金銭」に該当するものとされている(国税庁HP・質疑応答事例「集合住宅の家賃,共益費,管理料等の課税・非課税の判定」注書き)。

このため,賃貸マンション等の一つの賃貸借契約書の中で駐車場使用料の内訳が示されている場合には,「住宅の貸付けの対価とは別に駐車場使用料等を収受していない」とは言えず,要件③を満たさないため,駐車場使用料分は課税対象となる。