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[全文公開] 家内労働者等の必要経費の特例

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保険外交員など一定の者については,必要経費に関する優遇措置がある。

「家内労働者等の必要経費の特例」というもので,「家内労働者等」が“事業所得”又は“雑所得”を得ていて,総収入金額から控除されるべき必要経費の実額が少額でも,必要経費を最大65万円とすることができるというもの( 措法27措令18の2 )。

ここでいう「家内労働者等」には,保険外交員のほかに,メーカー等から原材料等の提供を受けて物品の製造等に従事し,他人(同居親族除く)を使用せず労働の対償を得ている者(家内労働 法2 ②),特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行う業務をする人などが含まれる( 措令18の2 ①)。

例えば,主婦が,メーカーA社から材料の提供を受け,その材料でアクセサリーを自ら作り,完成品を商品としてA社に提供した場合は,本特例を受けることができる。

一方,材料を自ら購入し作成したアクセサリーなどを,商品として自ら販売する場合は,「特定の者」に人的役務提供をしているとはいえないから,本特例を受けられないとのことだ。

また,主婦がA社から受けるアクセサリーの収入のほかに,パートなどによる給与所得がある場合,パート収入が65万円未満であれば,①65万円からその収入に係る給与所得控除額を控除した残額と,②事業所得や雑所得の実際にかかった経費とを比べて高い方を必要経費とすることができる。

例えば,パート収入が30万円,アクセサリー制作に係る収入が50万円で経費の実額が15万円の場合,①35万円(=65万円-30万円)>②15万円となり,35万円が必要経費として認められる。

なお,令和2年1月1日以降は,給与所得控除額が引き下げられることに伴い,必要経費として認められる額が55万円未満に引き下げられる。