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[全文公開] セルフメディケーション税制とポイント使用

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確定申告期(2月17日~3月16日)が近づいてきた。近頃は,買い物でポイントを使用できる場面も増えてきたが,医療費控除( 所法73 )やセルフメディケーション税制( 措法41の17の2 , №3589 ・53頁)等の適用には留意したい。

ポイントを使用して医薬品購入の決済代金の値引きを受けるなど,所得控除の対象となる支出にポイントを使用したことが明らかな場合,①ポイント使用 の支払金額を基に所得控除額を計算する方法,②ポイント使用 の支払金額を基に所得控除額を計算するとともに,ポイント使用相当額を一時所得の総収入金額として算入する方法のいずれかで,所得金額・所得控除額を計算する必要がある( №3589 ・4頁)。

例えば,“スイッチOTC医薬品”の購入費が年間1万2千円を超えた場合に,超過分の所得控除(最大8万8千円)ができるセルフメディケーション税制。1年間で3万円分の対象医薬品を購入し,現金2万円と1万ポイント(1ポイント1円として使用可)で支払ったと仮定すると,方法①は,ポイント使用 の2万円を基に所得控除額を計算するため,2万円から1万2千円を控除した8千円が所得控除額となる。一方,方法②は,ポイント使用 の支払金額である3万円を基に所得控除額を計算するため,3万円から1万2千円を控除した1万8千円が所得控除額となるが,ポイント使用相当額の1万円を一時所得の総収入金額として算入する。

方法②では,ポイント使用相当額(上記では1万円)を一時所得の総収入金額として算入する必要があるが,50万円の特別控除があるため( 所法34 ),課税されるケースは稀だろう。ただし,同じ年に生命保険の一時金など他の一時所得がある場合には,合計して50万円を超えるケースも考えられるため留意したい。

なお,国税庁では,一部の会社が発行する同税制対象医薬品に係るレシートの表示に誤りがあるとして注意を呼び掛けている(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1132_2.htm)。