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[全文公開] 資料 地方税法等の一部を改正する法律案要綱(抄)(2年2月4日提出)

( 37頁)

所有者不明土地等に係る固定資産税の課税上の課題に対応するため,登記名義人等が死亡している場合における現所有者に賦課徴収に関し必要な事項を申告させることができる制度の創設及び固定資産の使用者を所有者とみなして課税することができる制度の拡大を行うとともに,経済社会の構造変化を踏まえた個人住民税における未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し,電気供給業のうち発電事業等及び小売電気事業等に係る法人事業税の課税方式の見直し等を行うほか,税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととし,次のとおり地方税法等の一部を改正するものとする。

第一 地方税法に関する事項

一 道府県民税及び市町村民税

1  令和3年度以後の各年度分の個人の道府県民税及び市町村民税について,所得割の納税義務者が,ひとり親(現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者のうち,次に掲げる要件を満たすものをいう。以下同じ。)である場合には,その者の前年の総所得金額等から30万円を控除すること。(第23条,第34条,第292条,第314条の2関係)

(一) その者と生計を一にする一定の子を有すること。

(二) 前年の合計所得金額が500万円以下であること。

(三) その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の者がいないこと。

2  令和3年度以後の各年度分の個人の道府県民税及び市町村民税における寡婦(寡夫)控除について,以下の措置を講ずること。(第23条,第34条,第292条,第314条の2関係)

(一) 寡婦について,以下の措置を講ずること。

(1) ひとり親に該当する者は寡婦に該当しないこととすること。

(2) 寡婦の要件に,その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の者がいないことを加えること。

(3) 扶養親族を有する寡婦の要件に,前年の合計所得金額が500万円以下であることを加えること。

(二) 寡婦控除の特別加算及び寡夫控除を廃止すること。

3  給与所得者の扶養親族等申告書又は公的年金等受給者の扶養親族等申告書について,給与所得者又は公的年金等受給者が単身児童扶養者に該当する場合においてその旨の記載を不要とする等所要の措置を講ずること。(第23条,第45条の3の2,第45条の3の3,第292条,第317条の3の2,第317条の3の3関係)

4  令和3年度以後の各年度分の個人の道府県民税及び市町村民税の非課税措置について,寡夫を対象から除き,ひとり親(当該ひとり親の前年の合計所得金額が135万円を超える場合を除く。)を対象に加えること。(第24条の5,第295条関係)

5  1及び2に伴い,令和3年度以後の各年度分の個人の道府県民税及び市町村民税における調整控除について,所要の措置を講ずること。(第37条,第314条の6関係)

6  個人の道府県民税及び市町村民税に関する申告書について,寡夫控除額に関する事項の記載を不要とし,ひとり親控除額に関する事項を記載するものとすること。(第45条の2,第317条の2関係)

7  居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長すること。(附則第4条関係)

8  特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限を2年延長すること。(附則第4条の2関係)

9  肉用牛の売却による事業所得に係る課税の特例の適用期限を3年延長すること。(附則第6条関係)

10  土地の譲渡等に係る事業所得等に係る課税の特例について,適用停止期限を3年延長すること。(附則第33条の3関係)

11  個人が低未利用土地等の一定の譲渡を行った場合には,その年中の低未利用土地等の譲渡に係る長期譲渡所得の金額から100万円(当該長期譲渡所得の金額が100万円に満たない場合には,当該長期譲渡所得の金額)を控除すること。(附則第34条関係)

12  優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について,適用期限を3年延長する等所要の措置を講ずること。(附則第34条の2関係)

13  未成年者口座管理契約に基づき未成年者口座内上場株式等を譲渡した場合の譲渡所得等に係る個人の道府県民税及び市町村民税の非課税措置について,令和6年1月1日以後は,当該個人に契約不履行等事由が生じた場合であっても,適用すること。(附則第35条の3の3関係)

14  令和6年度以後の各年度分の個人の道府県民税及び市町村民税について,扶養控除の対象となる親族から,非居住者である扶養親族のうち年齢30歳以上70歳未満の者であって次のいずれにも該当しないものを除外すること。(第34条,第314条の2関係)

(一) 留学によりこの法律の施行地に住所及び居所を有しなくなった者

(二) 障害者

(三) その納税義務者から前年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者

15  特定非課税累積投資契約に基づき非課税口座内上場株式等を譲渡した場合の譲渡所得等に係る個人の道府県民税及び市町村民税について,当該非課税口座内上場株式等に係る譲渡所得等の金額とそれ以外の株式等に係る譲渡所得等の金額とを区分して計算する等所要の措置を講ずること。(附則第35条の3の2関係)

16  法人税割の課税標準である法人税額について,中小企業者等の革新的情報産業活用設備を取得した場合の法人税額の特別税額控除の適用を受けた額とする措置を廃止すること。(附則第8条関係)

17  法人税割の課税標準である法人税額について,中小企業者等の認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の法人税額の特別税額控除の適用を受けた額とする措置を講ずること。(附則第8条関係)

18  地域再生法に規定する認定地方公共団体(以下「認定地方公共団体」という。)に対してまち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関連する寄附金を支出した場合の法人の道府県民税及び市町村民税の特定寄附金税額控除について,以下の措置を講じた上,その適用期限を令和7年3月31日まで延長すること。(附則第8条の2の2関係)

(一) 令和2年4月1日以後に開始する事業年度分の道府県民税の法人税割額及び市町村民税の法人税割額から控除する金額について,それぞれ当該事業年度に支出した特定寄附金の額の合計額の100分の5.7に相当する金額,当該合計額の100分の34.3に相当する金額とすること。

(二) 認定地方公共団体がまち・ひと・しごと創生寄附活用事業を行う前に当該認定地方公共団体に対して支出する寄附金を対象とすること。

19  通算法人に係る法人税割の課税標準を法人税額とすること。(第23条,第292条関係)

20  敷地分割組合について,収益事業課税とすること。(第24条,第294条関係)

21  通算法人は,当該通算法人が課される法人税割額について,次のとおり申告納付を行うものとすること。(第53条,第321条の8関係)

(一) 法人税に係る申告書を提出する義務がある通算法人は,当該申告書の提出期限までに,申告納付をしなければならないこと。

(二) 通算親法人が協同組合等である通算子法人(前事業年度の法人税額を当該前事業年度の月数で除し,これに中間期間の月数を乗じて計算した金額が10万円以下である場合又は当該金額がない場合に該当するものを除く。)は,その事業年度(通算承認の効力が生じた日が同日の属する通算親法人事業年度開始の日以後6月を経過した日以後であるときの事業年度を除く。)開始の日の属する通算親法人事業年度が6月を超え,かつ,当該通算親法人事業年度開始の日以後6月を経過した日((二)において「6月経過日」という。)において通算親法人との間に通算完全支配関係がある場合には,6月経過日から2月以内に,中間申告納付をしなければならないものとすること。

22  法人税割の課税標準となる法人税額の算定について,次の控除又は加算を行うこと。(第53条,第321条の8関係)

(一) 法人に当該事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた通算適用前欠損金額(法人税法の規定によりないものとされた欠損金額をいう。以下同じ。)がある場合は,当該法人が通算適用前欠損金額の生じた事業年度以後連続して法人の道府県民税又は市町村民税の確定申告書を提出している等一定の要件を満たす場合に限り,一定の額を限度として,控除対象通算適用前欠損調整額を控除すること。

(二) (一)の控除対象通算適用前欠損調整額とは,通算適用前欠損調整額に,控除を受ける法人の最初通算事業年度終了の日における当該法人の区分に応じ,法人税の税率に相当する率を乗じて得た金額をいうこと。

(三) 法人に当該事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じたものとみなされた合併等前欠損金額(法人税法の規定により合併法人等の欠損金額とみなされなかった欠損金額をいう。以下同じ。)がある場合は,当該法人が合併等事業年度以後連続して法人の道府県民税又は市町村民税の確定申告書を提出している場合に限り,一定の額を限度として,控除対象合併等前欠損調整額を控除すること。

(四) (三)の控除対象合併等前欠損調整額とは,合併等前欠損調整額に,控除を受ける法人の合併等事業年度終了の日における当該法人の区分に応じ,法人税の税率に相当する率を乗じて得た金額をいうこと。

(五) 法人に当該事業年度において生じた通算対象欠損金額(法人税法の規定により損金の額に算入されたものをいう。以下同じ。)がある場合は,加算対象通算対象欠損調整額を加算すること。

(六) (五)の加算対象通算対象欠損調整額とは,通算対象欠損金額に,加算される法人の当該事業年度終了の日における当該法人の区分に応じ,法人税の税率に相当する率を乗じて得た金額をいうこと。

(七) 法人に当該事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた通算対象所得金額(法人税法の規定により益金の額に算入されたものをいう。以下同じ。)がある場合は,当該法人が通算対象所得金額の生じた事業年度以後連続して法人の道府県民税又は市町村民税の確定申告書を提出している等一定の要件を満たす場合に限り,一定の額を限度として,控除対象通算対象所得調整額を控除すること。

(八) (七)の控除対象通算対象所得調整額とは,通算対象所得金額に,控除を受ける法人の当該通算対象所得金額の生じた事業年度後最初の事業年度終了の日における当該法人の区分に応じ,法人税の税率に相当する率を乗じて得た金額をいうこと。

(九) 法人に当該事業年度において生じた被配賦欠損金控除額(法人税法の規定により損金の額に算入されたものをいう。以下同じ。)がある場合は,加算対象被配賦欠損調整額を加算すること。

(十) (九)の加算対象被配賦欠損調整額とは,被配賦欠損金控除額に,加算される法人の当該事業年度終了の日における当該法人の区分に応じ,法人税の税率に相当する率を乗じて得た金額をいうこと。

(十一) 法人に当該事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた配賦欠損金控除額(法人税法の規定により損金の額に算入されたものをいう。以下同じ。)がある場合は,当該法人が配賦欠損金控除額の生じた事業年度以後連続して法人の道府県民税又は市町村民税の確定申告書を提出している等一定の要件を満たす場合に限り,一定の額を限度として,控除対象配賦欠損調整額を控除すること。

(十二) (十一)の控除対象配賦欠損調整額とは,配賦欠損金控除額に,控除を受ける法人の当該配賦欠損金控除額の生じた事業年度後最初の事業年度終了の日における当該法人の区分に応じ,法人税の税率に相当する率を乗じて得た金額をいうこと。

(十三) 法人に当該事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度等において生じた還付対象欠損金額(法人税法の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となった金額をいう。以下同じ。)がある場合は,当該法人が配賦欠損金控除額の生じた事業年度等以後連続して法人の道府県民税又は市町村民税の確定申告書を提出している等一定の要件を満たす場合に限り,一定の額を限度として,控除対象還付対象欠損調整額を控除すること。

(十四) (十三)の控除対象還付対象欠損調整額とは,還付対象欠損金額に,控除を受ける法人の当該還付対象欠損金額の生じた事業年度等後最初に開始する事業年度終了の日における当該法人の区分に応じ,法人税の税率に相当する率を乗じて得た金額をいうこと。

二 事業税

1  電気供給業のうち,電気事業法第2条第1項第2号に規定する小売電気事業(これに準ずる一定の事業を含む。以下「小売電気事業等」という。)及び同項第14号に規定する発電事業(これに準ずる一定の事業を含む。以下「発電事業等」という。)に係る法人の事業税について,資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という。)1億円超の普通法人にあっては収入割額,付加価値割額及び資本割額の合算額によって,資本金1億円以下の普通法人等にあっては収入割額及び所得割額の合算額によって,それぞれ課するものとすること。(第72条の2関係)

2  電気供給業のうち,小売電気事業等及び発電事業等に対する法人の事業税の標準税率を次のとおりとすること。(第72条の24の7関係)

(一) 資本金1億円超の普通法人

 (1) 収入割    100分の0.75
 (2) 付加価値割  100分の0.37
 (3) 資本割    100分の0.15

(二) 資本金1億円以下の普通法人等

 (1) 収入割    100分の0.75
 (2) 所得割    100分の1.85

3  1及び2に伴う所要の措置を講ずること。(第72条の2の2,第72条の12,第72条の25,第72条の26,第72条の29,第72条の41,第72条の41の3関係)

4  銀行等保有株式取得機構に係る資本割の課税標準の特例措置の適用期限を令和5年3月31日まで延長すること。(附則第9条関係)

5  電気供給業を行う法人の収入割の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に,他の電気供給業を行う法人から電気事業法に規定する託送供給を受けて電気の供給を行う場合の当該電気の供給に係る収入金額のうち,当該電気の供給に係る託送供給の料金として支払うべき金額に相当する収入金額を追加する課税標準の特例措置の適用期限を令和5年3月31日まで延長すること。(附則第9条関係)

6  給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の付加価値割の課税標準の特例措置について,国内設備投資額が当期償却費総額の100分の90以上であることとの要件を,当期償却費総額の100分の95以上であることとすること。(附則第9条関係)

7  電気供給業を行う法人の収入割の課税標準である収入金額を算定する場合において,一般送配電事業者の収入金額のうち,使用済燃料再処理等既発電費に相当する金額を控除する措置を廃止すること。(附則第9条関係)

8  認定地方公共団体に対してまち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関連する寄附金を支出した場合の法人の事業税の特定寄附金税額控除について,以下の措置を講じた上,その適用期限を令和7年3月31日まで延長すること。(附則第9条の2の2関係)

(一) 令和2年4月1日以後に開始する事業年度分の法人の事業税額から控除する金額について,当該事業年度に支出した特定寄附金の額の合計額の100分の20に相当する金額とすること。

(二) 認定地方公共団体がまち・ひと・しごと創生寄附活用事業を行う前に当該認定地方公共団体に対して支出する寄附金を対象とすること。

9  敷地分割組合の事業の所得で収益事業に係るもの以外のものについて,非課税措置を講ずること。(第72条の5関係)

10  通算子法人の事業年度は,連結法人と同様に,通算親法人の事業年度に合わせたみなし事業年度とすること。(第72条の13関係)

11  通算法人の事業税の付加価値割の課税標準となる付加価値額の計算の基礎となる単年度損益は,各事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額によるものとし,当該各事業年度の法人税の課税標準である所得の計算(法人税における損益通算,欠損金の通算等を除く。)の例により算定するものとすること。(第72条の18関係)

12  通算法人の事業税の所得割の課税標準となる所得は,各事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額によるものとし,当該各事業年度の法人税の課税標準である所得の計算(法人税における損益通算,欠損金の通算等を除く。)の例により算定するものとすること。(第72条の23関係)

13  通算子法人は,当該事業年度(通算承認の効力が生じた日が同日の属する通算親法人事業年度開始の日以後6月を経過した日以後であるときの事業年度を除く。)開始の日の属する通算親法人事業年度が6月を超え,かつ,当該通算親法人事業年度開始の日以後6月を経過した日(13において「6月経過日」という。)において通算親法人との間に通算完全支配関係がある場合には,6月経過日から2月以内に,中間申告納付をしなければならないものとすること。(第72条の26関係)

三 地方消費税

省略

四 不動産取得税

省略

五 道府県たばこ税及び市町村たばこ税

省略

六 ゴルフ場利用税

省略

七 固定資産税及び都市計画税

1  市町村は,相当な努力が払われたと認められる方法により探索を行ってもなお固定資産の所有者の存在が不明である場合には,あらかじめ通知した上,その使用者を所有者とみなして,固定資産課税台帳に登録し,その者に固定資産税を課することができるものとすること等の措置を講ずること。(第343条関係)

2  市町村長は,その市町村内の土地又は家屋について,登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録がされている個人が死亡している場合における当該土地又は家屋を所有している者(以下「現所有者」という。)に,当該市町村の条例で定めるところにより,現所有者であることを知った日の翌日から3月を経過した日以後の日までに,当該現所有者の住所及び氏名又は名称その他固定資産税の賦課徴収に関し必要な事項を申告させることができるものとするほか,当該申告に係る所要の罰則を設けるものとすること。(第384条の3,第385条,第386条関係)

3~10  省略

八 事業所税

省略

九 その他

省略

第二 地方税法等の一部を改正する法律に関する事項

省略

第三 航空機燃料譲与税法に関する事項

省略

第四 地方税法等の一部を改正する等の法律附則第31条第2項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第9条の規定による廃止前の地方法人特別税等に関する暫定措置法に関する事項

省略

第五 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律に関する事項

省略

第六 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律に関する事項

1  収入割額,付加価値割額及び資本割額の合算額又は収入割額及び所得割額の合算額により法人の事業税を課される法人の特別法人事業税の額は,基準法人収入割額に100分の40の税率を乗じて得た金額とすること。(第7条関係)

2  国税徴収法の規定の例により陳述すべき事項について虚偽の陳述をした者に対する罰則規定を設けること。(第27条の2関係)

第七 その他

省略