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[全文公開] 前払い賃料と資産の譲渡等の時期

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令和2年度税制改正で,住宅の貸付けに係る消費税の非課税対象が見直される(消法別表第1十三(案))。非課税対象の範囲に,契約で用途が記されていなくても,居住の用に供されている実態のある令和2年4月1日以後の貸付けが追加される。

住宅など物件の賃料に係る支払いを前月末,前月25日までなど 前払い としているケースが多いだろう。この場合,賃料に係る納税義務が成立するのは,賃料に対応する貸付けが 完了 した日であるという。

例えば,4月1日から4月30日までの4月分の賃料を3月25日までに支払わなければならない場合の資産の譲渡等の時期は,4月分の貸付けが完了する4月30日として納税義務が成立する。

令和2年度税制改正に係る「所得税法等の一部を改正する法律案」の成立後は,課税対象であった物件の貸付けが,実態判断で居住の用に供されていることが明らかであれば,非課税となることが想定され得る。上記例のように,令和2年4月分の賃料を3月に前払いしていても,その賃料は非課税となることに留意したい。

この見直しは,居住用賃貸建物の取得等に係る仕入税額控除制度等の適正化の1つ。このほかに,金地金の売却収入を計上して意図的に課税売上割合を高めて,作為的に居住用建物に係る消費税の還付を受けるというスキームをふさぐ措置も講じられている(令和2年10月1日以後の居住用賃貸建物の仕入れから適用)。