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[全文公開] 法人税法施行令等の一部を改正する政令要綱(政令第112号)

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一 法人税法施行令の一部改正(第1条関係)

1  内国法人が特定支配関係のある法人から配当等の額を受ける場合において,その配当等の額と同一事業年度内配当等の額の合計額がその内国法人が有するその特定支配関係のある法人の株式等の帳簿価額の10%を超えるときは,その株式等のその配当等の額に係る基準時における一単位当たりの帳簿価額は,一定の場合を除き,その基準時の直前における帳簿価額からその配当等の額のうち益金の額に算入されない金額に相当する金額を減算した金額をその株式等の数で除して計算した金額とし,その減算した金額を利益積立金額から減算する等の調整を行うこととする。(法人税法施行令第9条,第9条の2,第119条の3,第119条の4,第139条の8,第155条の3の2,第155条の23,第155条の43関係)

(注)  上記の改正は,法人が令和2年4月1日以後に開始する事業年度において受ける配当等の額について適用し,その配当等の額に係る基準時が同日前に開始した事業年度の期間内のいずれかの時である場合には,同日以後最初に開始する事業年度開始の時をその配当等の額に係る基準時とみなす。(附則第5条関係)

2  減価償却資産の範囲に,無形固定資産として樹木採取権を加えることとする。(法人税法施行令第13条関係)

3  連結納税の開始又は連結納税への加入に係る時価評価資産等の範囲に,特別新事業開拓事業者に対し特定事業活動として出資をした場合の課税の特例の特別勘定の金額を加えることとする。(法人税法施行令第14条の8関係)

4  有価証券の評価損益等について,次の措置を講ずることとする。(法人税法施行令第68条,第118条の8,第119条の13関係)

(1) 有価証券の評価損の計上ができる事実について,価額が著しく低下したことを評価損の計上ができる事実とする有価証券の範囲を取引所売買有価証券,店頭売買有価証券,取扱有価証券及びその他価格公表有価証券(以下「市場有価証券」という。)並びに市場有価証券以外の有価証券(株式等を除く。)とする等の見直しを行う。

(2) 売買目的有価証券及び短期売買商品等(仮想通貨を除く。)の時価評価金額の計算における一単位当たりの金額について,次の見直しを行う。

  • ① 市場有価証券及び短期売買商品等(仮想通貨を除く。)で事業年度終了の日において公表された最終の価格がないものについては,同日前に公表された最終の価格のうちその終了の日に最も近いものを基礎とした合理的な方法により計算した金額とする。

    ② 市場有価証券以外の有価証券(株式等を除く。)については,その有価証券に類似する有価証券について公表された事業年度終了の日における最終の価格又は利率その他の指標に基づき合理的な方法により計算した金額とする。

    ③ 時価評価金額を計算する場合において,上記①及び②の合理的な方法によったときは,その方法を採用した理由及びその方法による計算の基礎とした事項を記載した書類を保存しなければならないこととする。

(注)  上記の改正は,法人が令和2年4月1日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税について適用する。なお,同日以後に終了する事業年度(令和3年3月31日以前に開始するものに限る。)においては,市場有価証券及び市場有価証券以外の有価証券(株式等を除く。)並びに短期売買商品等(仮想通貨を除く。)について,改正前の規定により計算した金額を時価評価金額とみなすことができることとする等の経過措置を講ずる。(附則第2条,第4条,第6条関係)

5  役員給与の損金不算入制度における業績連動給与の決定手続について,独立職務執行者から除外される者の範囲の見直しを行うこととする。(法人税法施行令第69条関係)

6  特定同族会社の留保金課税制度について,留保金額の計算上控除される道府県民税及び市町村民税の額の計算において,特定同族会社が支出した地方税法の特定寄附金につき道府県民税及び市町村民税の額から控除される金額がある場合の計算方法等を見直すこととする。(法人税法施行令第139条の10,第155条の25関係)

7  外国税額控除の対象とならない外国法人税の額について,他の者の所得の金額に相当する金額に対し,これを内国法人の所得の金額とみなして課される一定の外国法人税の額等を加えることとする。(法人税法施行令第142条の2,第155条の27関係)

(注)  上記の改正は,内国法人の令和3年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用する。(附則第8条,第11条関係)

8  連結法人が個別益金額又は個別損金額を計算する場合において,他の連結法人との間で行われる一定のデリバティブ取引に係るみなし決済損益額は,ないものとする。(法人税法施行令第155条の3の3関係)

9  その他所要の規定の整備を行うこととする。

二 法人税法施行令等の一部を改正する政令(平成31年政令第96号)の一部改正(第2条関係)

再生計画認可の決定に準ずる事実等に関する経過措置等について,所要の規定の整備を行うこととする。(法人税法施行令等の一部を改正する政令附則第4条,第7条,第10条関係)

三 施行期日

この政令は,別段の定めがあるものを除き,令和2年4月1日から施行することとする。(附則第1条関係)