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[全文公開] 所得税法施行令及び災害被害者に対する租税の減免,徴収猶予等に関する法律の施行に関する政令の一部を改正する政令要綱(政令第111号)

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一 所得税法施行令の一部改正(第1条関係)

1  減価償却資産の範囲に,無形固定資産として樹木採取権を加えることとする。(所得税法施行令第6条関係)

2  ひとり親の範囲について,ひとり親の対象となる配偶者の生死の明らかでない者及びひとり親が有することとされるその者と生計を一にする子を定めることとする。(所得税法施行令第11条の2関係)

3  非課税とされる金品の交付を行う団体の範囲に,パラリンピック競技大会において実施される競技に関する業務を行う一定の法人を加えることとする。(所得税法施行令第28条関係)

4  短期譲渡所得の対象から除かれる所得の範囲に,相続又は遺贈により取得した配偶者居住権及び配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利(以下これらを「配偶者居住権等」という。)の消滅(配偶者居住権等を取得した時に当該建物又は当該土地等を譲渡したとしたならば当該建物又は当該土地等を取得した日とされる日以後5年を経過する日後の消滅に限る。)による所得を加えることとする。(所得税法施行令第82条関係)

5  収入金額とすべき経済的利益の価額が譲渡についての制限が解除された日における価額とされる特定譲渡制限付株式等について,次の措置を講ずることとする。(所得税法施行令第84条,第109条関係)

(1) 法人に対する役務提供の対価として個人に生ずる債権の給付と引換えに交付される譲渡制限付株式以外の譲渡制限付株式で,実質的に法人に対する役務提供の対価と認められるものを対象に加えることとする。

(2) 特定譲渡制限付株式又は承継譲渡制限付株式の交付を受けた個人が譲渡についての制限が解除された日前に死亡した場合において,当該個人の死亡の時に発行法人等が無償で取得することとなる事由に該当しないことが確定している当該特定譲渡制限付株式又は承継譲渡制限付株式については,当該個人の死亡の日における価額を当該特定譲渡制限付株式又は承継譲渡制限付株式の経済的な利益の価額及び取得価額とする。

(注)  上記(1)の改正は,会社法の一部を改正する法律の施行の日以後にその交付に係る決議(その決議が行われない場合には,その交付)がされる特定譲渡制限付株式又はその特定譲渡制限付株式に係る承継譲渡制限付株式について適用する。(附則第4条関係)

6  配偶者居住権及び配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利(以下これらを「配偶者居住権等」という。)が消滅した場合における譲渡所得の金額の計算上控除する取得費について,次の措置を講ずることとする。(所得税法施行令第169条の2関係)

(1) 配偶者居住権等の取得費を計算するための配偶者居住権等の取得に要した金額の計算及び配偶者居住権の存続する期間を基礎として計算される当該金額から控除する金額の計算の細目を定める。

(2) 配偶者居住権の目的となっている建物又はその敷地の用に供される土地等に係る配偶者居住権等が消滅した後に当該建物又は当該土地等を譲渡した場合におけるこれらの資産の取得費の計算の細目を定める。

7  雑所得を生ずべき小規模な業務を行う者の収入及び費用の帰属時期の特例について,適用対象者の要件,当該業務に係る雑所得の金額の計算上総収入金額及び必要経費に算入すべき金額の計算並びに本特例の適用を受けるための手続の細目を定めることとする。(所得税法施行令第196条の2~第197条関係)

8  雑損控除の対象となる資産の損失の金額について,その損失が生じた日に資産の譲渡があったものとみなした場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額を基礎として当該損失の金額を計算することができる資産の範囲に,配偶者居住権及び配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利を加えることとする。(所得税法施行令第206条関係)

9  外国税額控除の対象とならない外国所得税の額について,他の者の所得の金額に相当する金額に対し,これを居住者の所得の金額とみなして課される一定の外国所得税の額等を加えることとする。(所得税法施行令第222条の2関係)

(注)  上記の改正は,令和4年分以後の所得税について適用する。(附則第6条関係)

10  確定申告において,年齢30歳以上70歳未満の非居住者である親族(障害者である親族を除く。)に係る扶養控除の適用を受けようとする居住者が,確定申告書に当該親族の各人別に添付等すべき書類及びその添付等を要しない場合の細目を定めることとする。(所得税法施行令第262条関係)

11  給与等又は公的年金等に係る源泉徴収において年齢30歳以上70歳未満の非居住者である親族(障害者である親族を除く。)に係る扶養控除に相当する控除の適用を受ける居住者が,当該親族の各人別に給与所得者の扶養控除等申告書等に添付等すべき書類の細目を定めることとする。(所得税法施行令第316条の2,第318条の2,第319条の10関係)

12  源泉徴収に係る所得税の徴収について,給与等,退職手当等及び報酬等の支払の日をこれらの計算期間の末日として所得税の徴収をする場合におけるその計算期間及び報酬等の源泉徴収税額の計算の細目を定めることとする。(所得税法施行令第334条の2関係)

13  利子等又は配当等の受領者の告知制度等について,次の見直しを行うこととする。(所得税法施行令第336条~第339条,第342条~第346条,第348条~第350条,第350条の3~第350条の5,第350条の8~第350条の10関係)

(1) 利子等又は配当等の支払等を受ける法人が告知等をする場合において,その告知等を受ける者が,当該法人の法人番号その他の事項を記載した帳簿を備えているときは,当該法人は,その告知等を受ける者に対しては,法人番号の告知等を要しないこととする。

(2) 利子等又は配当等の支払等を受ける法人が告知等をする際,その告知等を受ける者が,当該法人の名称,住所及び法人番号につき,行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定により公表された当該法人の名称,住所及び法人番号と同じであることの確認をした場合には,当該法人は,その告知等を受ける者に対しては,本人確認書類の提示を要しないこととする。

14  その他所要の規定の整備を行うこととする。

二 災害被害者に対する租税の減免,徴収猶予等に関する法律の施行に関する政令の一部改正(第2条関係)

給与等,公的年金等又は報酬等に対する源泉所得税の徴収猶予における徴収猶予限度額の計算の基礎となる配偶者控除額等の見積額について,未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直しに伴う所要の整備を行うこととする。(災害被害者に対する租税の減免,徴収猶予等に関する法律の施行に関する政令第9条関係)

この政令は,別段の定めがあるものを除き,令和2年4月1日から施行することとする。(附則第1条関係)