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[全文公開] 地方税の納税猶予特例と届出手続

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新型コロナウイルスの影響に伴う措置として,地方税の徴収猶予の特例がある。事業等に係る収入に相当の減少があった場合,自治体に申請手続し,審査が通れば,無担保かつ延滞金なしで最大1年間徴収を猶予するという制度だ(地法附則59)。

申請方法は,郵送とeLTAXによる電子申請,持参の3つがあり,複数自治体へ申請する場合,郵送だと自治体ごとに個別で申請書を提出しなければならないが,eLTAXによる電子申請だと一度の申請手続で一括提出できる。

郵送の場合は,各自治体HP掲載の所定様式(所定様式の掲載がない場合,総務省の「徴収猶予申請書」の様式)を使用する。申請書に,申請者の住所(所在地)や氏名(名称)のほか,納付又は納入すべき税目と当初の納期限,各税額,猶予を希望する期間等を記入し提出。さらに,収入や現預金等の状況が分かる資料(預金通帳や売上帳等)も必要で,それぞれの自治体から要請された資料か,「財産収支状況書」等の様式を記載して添付しなければならない。

eLTAXによる電子申請の場合は,「徴収猶予申請書」と「財産収支状況書」等に加え,「複数団体用専用様式」を提出する。同様式を記入しておけば,申請書に記載する税目や税額など一部の記載が省略可能と利便性が高い。ただ,提出先の自治体ごとに対象税目及び合計額をそれぞれ記入しておく必要がある。例えば,〇〇県A市は「法人市民税」と「事業所税」で合計税額を記入,〇×県B市は「個人住民税」と「固定資産税」,「軽自動車税」で合計税額を記入,という書き方だ。後は提出するだけで,その記載内容が全ての提出先自治体へ一括送信される。

なお,同特例の対象税目は,令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する地方税のうち,法人住民税,法人事業税,特別法人事業税,個人住民税,事業所税のほか,固定資産税,自動車税など,証紙徴収を除いたもの。猶予申請の審査は結果にかかわらず,通知書で知らせがあるという。