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[全文公開] マスク購入費用の用途区分

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緊急事態宣言が解除され,デパートやレストラン等多くの店舗で営業再開の動きが加速している。とはいえ,従業員はマスク等の着用や検温の実施,来店する客に対してはマスクを配布し,消毒液やサーモグラフィを設置するなど,感染症対策を徹底して再開する店舗等がほとんどだろう。

従業員と来店客が使用する感染症対策の備品等を仕入れた場合,仕入税額控除の個別対応方式の用途区分について,総務・経理部門など,営業・製造部門以外の従業員も使用等するときには,その費用は「共通対応」となる( 消法30 ②一)。ただ,使用用途等を営業担当や製造部門,来店客等の直接,“課税売上のみに対応する使用分”と総務・経理部門等の“それ以外の使用分”で合理的に分けられれば,前者は「課税売上対応」,後者は「共通対応」に区分することができる( 消基通11-2-19 )。

従業員の使用分を上記のように合理的に分けるには,営業・製造部門と,総務・経理部門の各従業員数に基づき按分して算出する方法等があるという。例えば,仕入れたマスク1万枚のうち1,000枚を従業員に使用させる場合,営業・製造部門の従業員数が全体の3割であれば,300枚分の費用を「課税売上対応」に区分できる。

来店客に配布する分の9,000枚は,来店客に対する売上が課税売上のみであることが明らかであれば,その売上を伸ばすための販売促進費として「課税売上対応」に区分できる。

なお,サーモグラフィ1台を仕入れて,それを総務・経理部門を含む従業員と来店客の共有で使用している場合は,使用分を分けることができないため「共通対応」となる。