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[全文公開] 今週のFAQ(2/7/13)<テレワークと押印>

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コロナ禍でテレワークが一気に広がりましたが,押印のためだけに出社を余儀なくされている人もいます。民間の取引などにおいて,契約書への押印は必ず必要なものなのでしょうか?

押印は必ず必要なものではありません。

令和2年6月19日,内閣府,法務省,経済産業省は連名で「押印についてのQ&A」を公表しました。テレワークの推進の障害となっていると指摘されている,民間における押印慣行について,その見直しに向けた自律的な取組が進むよう作成されたものですが,このQ&Aの中で,「契約書に押印をしなくても,法律違反にならないか」との問いに対し,次のように回答しています。

・私法上,契約は当事者の意思の合致により,成立するものであり,書面の作成及びその書面への押印は,特段の定めがある場合を除き,必要な要件とはされていない。

・特段の定めがある場合を除き,契約に当たり,押印をしなくても,契約の効力に影響は生じない。

また,テレワーク推進の観点からは,必ずしも本人による押印を得ることにこだわらず,不要な押印を省略したり,「重要な文書だからハンコが必要」と考える場合であっても押印以外の手段で代替したりすることが有意義であるとしています。

例えば,継続的な取引関係がある場合については,「取引先とのメールのメールアドレス・本文及び日時等,送受信記録の保存」をあげ,「請求書,納品書,検収書,領収書,確認書等は,このような方法の保存のみでも,文書の成立の真正が認められる重要な一事情になり得ると考えられる」としています。

(K)