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[全文公開] 雑損控除と住宅等の損失額

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今般,九州を中心に被害をもたらした豪雨災害により被災された皆様に,心よりお見舞い申し上げます。

災害により住宅等に損害を受けた場合,雑損控除の適用で所得税額を軽減することができる。雑損控除とは,災害や横領などにより生活に通常必要な資産に受けた損害金額のうち,一定額を総所得金額等から控除するというもの( 所法72 )。損失金額が大きく,災害発生の年では控除しきれない場合には,翌年以後3年間を限度に繰り越して各年で控除できる。

雑損控除の対象となる損害金額は,“資産の損失額”と“災害等に関連したやむを得ない支出額”のことで,保険金などで補填される金額は除かれる。“資産の損失額”は,損失発生時の直前における時価を基に計算するものであるが,損害を受けた資産が減価償却資産の場合は取得価額から減価償却費累積額相当額を控除した額を基に計算することもできる( 所令206 ③)。

ただ,住宅が主要構造部まで損壊しているため,資産ごとに損失額を計算することが困難なケースが想定される。この場合,「住宅」及び家具・家電などの「家財」については,損失額を“合理的な計算方法”によって簡易的に計算することもできる。例えば,取得価額が明らかでない住宅の損失額は下記の算式で計算する。

〔工事費用(円/㎡)×総床面積(㎡)-減価償却費(円)〕×被害割合

“被害割合”は,住宅や家財の損壊・浸水の状況によって定められており,例えば,豪雨災害により平屋の住宅が「床上1.5m以上」浸水した(海水・土砂を伴う)場合は「80%」となる。詳しくは,国税庁ホームページの被害割合表で確認することができる(ホーム>税の情報・手続・用紙>税について調べる>災害関連情報>災害に関する所得税の取扱い(個人の方)>被害割合表)。