※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[全文公開] 固定資産税の減免と棚卸資産

( 45頁)

新型コロナウイルス感染症の影響で売上高が一定割合減少している中小事業者等への支援措置として,「固定資産税の減免特例」が創設された。令和3年度課税分の固定資産税に限り,令和2年2月から同年10月までの任意の連続する3か月間の売上高が対前年同期比の減少率50%以上である場合には“免除(減少率30%以上50%未満で2分の1に軽減)”される。

本特例は,性風俗関連特殊営業を除く全業種が対象となることから,建物等を多数所有する不動産業等に注目されているようだ。ただ,販売用建物等の「棚卸資産」は本特例の対象にならないという。

固定資産税の課税客体(課税対象)は土地,家屋,償却資産とされているが( 地法341342 ),本特例の対象資産は,その中の事業用家屋と償却資産に限られている(地法附則61①)。ここでいう事業用家屋は,減価償却費が法人税法上の損金(又は所得税法上の必要経費)に算入されるものでなければならない。減価償却費を計上することがない棚卸資産は事業用家屋には該当しないことになるという。

一方,不動産販売業が所有する建物等全てが対象外となるわけではない。例えば,展示用のモデルハウスなど,長期間所有する目的で「有形固定資産」に計上され,減価償却費を損金経理しているものは対象になるとのことだ。

なお,特例を受けるには,一定の税理士や会計士などの認定経営革新等支援機関等に必要書類を提出し,売上高の減少等について確認を受けた上で,令和3年1月31日までに各市町村等に申告する必要がある。