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[全文公開] 住宅ローン控除の特例と特例取得

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新型コロナウイルス感染症の影響により住宅着工の遅延が懸念される。住宅ローン控除の特例は年内に居住の用に供した場合を要件とするが,一定の期日までに住宅取得等の契約が結ばれた場合は,入居期間が1年間延長される。

令和元年度税制改正では,消費税率引上げに伴い住宅に対する税制上の支援措置として,個人が住宅の取得等をして令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に居住の用に供した場合,住宅ローン控除の特例を創設( 措法41 ⑬等)。同特例は,消費税率10%時における「特別特定取得」に該当し,かつ,前述の期間内に居住の用に供した場合には,最大13年間の控除期間がある。

しかし,新型コロナウイルス感染症等の影響により,控除の対象となる住宅の取得等をした後,その住宅への入居が令和2年12月31日までにできなかった場合でも,去る4月30日に公布・施行された特例法「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」により一定の期日までに住宅の取得等に係る契約を締結する“特例取得”に該当し,令和3年12月31日までの間に入居することで住宅ローン控除を適用できることとなった(新型コロナ税特法6④⑤等)。

“特例取得”とは,消費税率10%時における特別特定取得のうち,その特別特定取得に係る契約が一定の期日までに締結されているものを指す。政令では,契約期限について,新築の場合は令和2年9月30日,建売住宅等の場合は同11月30日と定めている(同法令4③)。契約期限を超えた場合は,同特例を適用できないので注意されたい。

例えば,注文住宅の場合,令和2年9月30日までに業者と請負契約を締結すれば,たとえ同12月31日までに入居できなくても,令和3年12月31日までに入居すれば,同特例を適用できる。