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[全文公開] 新型コロナと事業承継税制の災害特例

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事業承継税制(本税制)には,被災等した会社に対し,“資産管理会社非該当要件”等の免除等の措置を講じる特例(災害特例)がある。新型コロナウイルス感染症により売上が大幅に減少した場合においても,この災害特例を適用できる。原則,新型コロナウイルス感染症が災害特例の対象の“災害等”に指定された期間の初日の令和2年2月18日から8か月後の「10月19日」(10月18日が日曜日のためその翌日)までに,都道府県に確認申請が必要だ。

非上場株に係る相続税や贈与税の納税猶予の期間中に,本税制の適用を受けている会社が,保有する資産の7割以上を有価証券や自ら使用していない不動産等が占めるといった要件を満たす“資産管理会社”に該当する場合には,納税猶予が打ち切られる。こうした要件が免除等される災害特例では,震災等の自然災害だけでなく,経済産業大臣が指定する災害その他突発的に生じた事由等も対象で,新型コロナウイルス感染症を事由として,令和2年2月18日~8月17日の売上高が平成31年2月18日~8月17日の売上高より30%以上減少した場合には,災害特例の適用対象となる(令和2年経済産業省告示第36号,経営承継円滑化法施行規則第13の2,13の3, 措法70の7 [30]等)。

また,既に本税制の適用を受けている場合だけでなく,これから本税制の適用を受けようとする一定のケースにおいても,同期間の売上が30%以上減少していれば災害特例を受けられる。この場合,贈与の翌年1月15日,又は相続開始の翌日から8か月以内に,都道府県に確認申請が必要となる。

災害特例の詳細については,中小企業庁ウェブサイトの「経営承継円滑化法 災害特例申請マニュアル(災害等により損害を受けた中小企業者等に対する特例措置(災害特例)について)」(令和2年6月経済産業省 中小企業庁財務課)を参照されたい。