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[全文公開] ひとり親控除と年調申告書の再提出

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令和2年度改正では,未婚のひとり親でも人的控除を受けられるよう「ひとり親控除」の創設や「寡婦控除」の見直しなどが行われた。これらの控除の適用にあたり,ほとんどの企業において前年の年末調整時に提出している「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の再提出(異動申告)が必要となる場合がある( №3605 ・3頁)。年末調整の事務担当者には従業員への呼びかけ等の対応が求められる。

改正後のひとり親控除と寡婦控除が適用される令和2年分の年末調整(最後の給与支払日が4月1日以降)で,異動申告が必要となる主なケースは次のとおり(改正法附則8②③④)。

① 未婚のひとり親などが,新たに「ひとり親」に該当する場合

② 改正前は寡婦・寡夫・特別の寡婦(寡婦等)に該当した者が,所得要件や非事実婚要件を満たさず改正後の「寡婦」又は「ひとり親」に該当しない場合

改正前後の控除額は,①の場合0円→35万円,②の場合27万円又は35万円→0円となる。控除が適用できるようになる場合だけでなく,控除の適用がなくなる場合も申告が必要となることに留意したい。

これらの場合は,令和2年最後の給与等の支払日の前日までに,異動申告をしなければならない。申告の際は,既に提出している令和2年分の申告書を適宜訂正するほか,「ひとり親」欄が設けられている令和3年分の様式を令和2年分に訂正して申告,又は国税庁が提供している年調ソフトを利用することもできる( №3608 ・2頁, №3628 ・10頁等)。

なお,改正前の寡夫又は特別の寡婦に該当する場合は,非事実婚要件等を満たせば原則として改正後のひとり親に該当するため,令和2年分に係る異動申告は不要で,令和3年分の申告書のみ「ひとり親」欄にチェックすればよい(改正法附則8⑤)。