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[全文公開] コロナ禍での未収利息の計上時期

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貸付金に係る利息の計上は原則,利息の計算期間の経過に応じて各事業年度の益金に算入する。一定の場合には益金に算入しなくてもいいという例外的な取扱いも示されており,昨今のコロナ禍における業況悪化も例外的な事由に当たる可能性があるようだ。

法人が有する貸付金又は貸付金に係る債務者について一定の事実が生じた場合,貸付金に係る未収利息は,各事業年度の益金に算入しないことができる( 法基通2-1-25 )。元本そのものが不良債権化し,貸倒処理等も検討しなければならない状況においては,原則通りに利息を計上するのは実態に合わないことから,特例的な扱いができることを示したものだ。

ここでいう“一定の事実”の一つとして,「債務者について債務超過の状態が相当期間継続し,事業好転の見通しがないこと,債務者が天災事故,経済事情の急変等によって多大の損失を蒙ったことその他これらに類する事由が生じたため,貸付金の額の全部又は相当部分についてその回収が危ぶまれるに至っている」というケースが例示されているが,昨今の新型コロナに係る経済活動の縮小等が,“天災事故,経済事情の急変等”に該当するという。

ただ,この取扱いは,元本自体が不良債権化している状況を前提とするため,債権者側は元本回収の努力をしても回収の見込みが立たないなど,元本が回収不能であることを客観的に示せる必要がある。Go Toキャンペーンなどの消費喚起策で需要が戻りつつある状況を踏まえると,安易な当てはめには否認リスクが伴うため,慎重に判断をする必要がある。

なお,前述の“債務超過の状態が相当期間”とは,債権者が債務者の経営状態をみて回収不能かどうかを判断するために必要な合理的な期間をいう。形式的に年数を判断することはできないため,個々の事情に応じてその期間をみていく必要があるようだ。