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[全文公開] 今週のFAQ(3/1/18)<居住用賃貸建物の控除対象外消費税額等>

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令和2年10月1日より,居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額には原則,仕入税額控除を適用できなくなりました。このため,消費税の申告で控除できない「控除対象外消費税額等」が生じますが,法人税法上,損金算入できるのでしょうか。

税抜経理を採用している場合に生じた,居住用賃貸建物(住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物)に係る「控除対象外消費税額等」については,一定の方法で損金算入することが可能です(国税庁質疑応答事例「居住用賃貸建物に係る控除対象外消費税額等について」)。

資産に係る「控除対象外消費税額等」については,その資産の取得価額に算入し,それ以後の事業年度に償却費などとして損金算入できます。ただ,①②③のいずれかに該当する場合には,損金経理を要件にその事業年度に全額を損金算入することができます( 法令139の4 )。

  • ① その事業年度の課税売上割合が80%以上であること。

    ② 棚卸資産に係る控除対象外消費税額等であること。

    ③ 一の資産に係る控除対象外消費税額等が20万円未満であること。

上記のいずれにも該当しない場合は,「繰延消費税額等」として資産計上したうえで,「{(繰延消費税額等)/60}×(事業年度の月数)」で計算した金額の範囲で損金算入していきます(資産を取得した事業年度は,上記算式で計算した金額の2分の1相当額)。

なお,「控除対象外消費税額等」が“資産に係るもの以外”の場合は,全額をその事業年度に損金算入できますが,交際費等に係る「控除対象外消費税額等」については交際費等の額に含めて,交際費等の損金不算入額を計算する必要があります。