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[全文公開] 地方税法等の一部を改正する法律案要綱(抄)(3年1月29日提出)

( 70頁)

現下の経済情勢等を踏まえ,令和3年度の評価替えに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整,住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の税率の特例措置の適用期限の延長,自動車税及び軽自動車税の環境性能割の税率区分等の見直し等を行うほか,税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととし,次のとおり地方税法等の一部を改正するものとする。

第一 地方税法に関する事項

一 道府県民税及び市町村民税

1  所得税の額の計算上控除しきれなかった外国税額控除の額,源泉徴収税額又は予納税額がある一定の場合において所得税に係る一定の申告書の提出があったときは,賦課決定の期間制限の特例として,当該提出があった日の翌日から起算して2年間賦課決定を行うことができることとすること。(第17条の6関係)

2  給与所得者の扶養親族申告書,公的年金等受給者の扶養親族申告書及び退職所得申告書について,これらの申告書の提出の際に経由すべき者が電磁的方法によるこれらの申告書に記載すべき事項の提供を適正に受けることができる措置を講じていること等一定の要件を満たす場合には,これらの申告書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができることとする等の措置を講ずること。(第45条の3の2,第45条の3の3,第50条の7,第317条の3の2,第317条の3の3,第328条の7関係)

3~8  省略

9  法人税割の課税標準である法人税額について,中小企業者等の試験研究を行った場合の法人税額の特別税額控除の適用を受けた額とする特例措置の適用期限を令和5年3月31日まで延長すること。(附則第8条関係)

10  法人税割の課税標準である法人税額について,中小企業者等の給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別税額控除の適用を受けた額とする特例措置を,中小企業者等の給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別税額控除の適用を受けた額とする特例措置に改めた上,その適用期限を令和5年3月31日までとすること。(附則第8条関係)

11  法人税割の課税標準である法人税額について,中小企業者等の情報技術事業適応設備を取得した場合等の法人税額の特別税額控除の適用を受けた額とする特例措置を講ずること。(附則第8条関係)

12  法人税割の課税標準である法人税額について,中小企業者等の生産工程効率化等設備等を取得した場合の法人税額の特別税額控除の適用を受けた額とする特例措置を講ずること。(附則第8条関係)

二 事業税

1  株式会社東日本大震災事業者再生支援機構に係る資本割の課税標準の特例措置の適用期限を令和8年3月31日まで延長すること。(附則第9条関係)

2  給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の付加価値割の課税標準の特例措置について,次のとおり改めた上,その適用期限を令和5年3月31日までとすること。(附則第9条関係)

(一) 新規雇用者給与等支給額の新規雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が100分の2以上である場合に特例措置を講ずること。

(二) 控除額について,控除対象新規雇用者給与等支給額に雇用安定控除との調整等所要の措置を講じた金額とすること。

3  電気供給業を行う法人の収入割の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に,電気供給業を行う法人の収入金額のうち,卸電力取引所を介して自らが供給を行った電気の供給を受けて当該電気の供給を行う場合において,当該供給を受けた電気の料金として支払うべき金額に相当する金額を追加する課税標準の特例措置の適用期限を令和6年3月31日まで延長すること。(附則第9条関係)

4  電気供給業のうち,電気事業法第2条第1項第15号の3に規定する特定卸供給事業(以下「特定卸供給事業」という。)に係る法人の事業税について,資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という。)1億円超の普通法人にあっては収入割額,付加価値割額及び資本割額の合算額によって,資本金1億円以下の普通法人等にあっては収入割額及び所得割額の合算額によって,それぞれ課するものとすること。(第72条の2関係)

5  電気供給業のうち,特定卸供給事業に対する法人の事業税の標準税率を次のとおりとすること。(第72条の24の7関係)

(一) 資本金1億円超の普通法人

(1) 収入割   100分の0.75

(2) 付加価値割 100分の0.37

(3) 資本割   100分の0.15

(二) 資本金1億円以下の普通法人等

(1) 収入割   100分の0.75

(2) 所得割   100分の1.85

6  電気供給業のうち,電気事業法第2条第1項第11号の2に規定する配電事業(以下「配電事業」という。)及び特定卸供給事業に係る法人の事業税の分割基準を,次に掲げる事業の区分に応じ,それぞれ次に定めるところにより課税標準額の総額を関係道府県ごとに分割する基準とすること。(第72条の48関係)

(一) 配電事業 次に掲げる場合の区分に応じ,それぞれ次に定めるところにより課税標準額の総額を関係道府県ごとに分割すること。

(1) (2)に掲げる場合以外の場合 課税標準額の総額の4分の3に相当する額を事業所等の所在する道府県において発電所の発電用の電気工作物(電気事業法第2条第1項第18号に規定する電気工作物をいう。以下同じ。)と電気的に接続している電線路(一定の要件に該当するものに限る。以下同じ。)の電力の容量に,課税標準額の総額の4分の1に相当する額を事業所等の固定資産の価額に按分すること。

(2) 事業所等の所在するいずれの道府県においても発電所の発電用の電気工作物と電気的に接続している電線路がない場合 課税標準額の総額を事業所等の固定資産の価額に按分すること。

(二) 特定卸供給事業 次に掲げる場合の区分に応じ,それぞれ次に定めるところにより課税標準額の総額を関係道府県ごとに分割すること。

(1) (2)に掲げる場合以外の場合 課税標準額の総額の4分の3に相当する額を事業所等の固定資産で発電所の用に供するものの価額に,課税標準額の総額の4分の1に相当する額を事業所等の固定資産の価額に按分すること。

(2) 事業所等の固定資産で発電所の用に供するものがない場合 課税標準額の総額を事業所等の固定資産の価額に按分すること。

7  4から6までに伴う所要の措置を講ずること。(第72条の41,第72条の48,附則第9条関係)

8  令和4年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度分の事業税に限り,ガス供給業を行う法人の収入割の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に,ガス事業法第2条第6項に規定する一般ガス導管事業者で一定の要件に該当するものが分社化した後の当該分社化に係る一定のガス事業者の間で行う取引のうち,ガスの安定供給の確保のため必要な取引に係る収入金額を追加する課税標準の特例措置を講ずること。(附則第9条関係)

三 不動産取得税

省略

四 軽油引取税

省略

五 自動車税

省略

六 固定資産税及び都市計画税

1  令和3年度の固定資産税の評価替えに伴い,土地に係る令和3年度から令和5年度までの各年度分の固定資産税及び都市計画税の負担についての調整措置を次のとおり講ずること。

(一) 宅地等に係る固定資産税及び都市計画税の額については,当該宅地等に係る当該年度分の税額が,前年度分の課税標準額に,当該年度の価格(住宅用地に係る課税標準の特例措置の適用を受ける宅地等については当該特例措置の適用後の額)に100分の5を乗じて得た額を加算した額(令和3年度分の固定資産税及び都市計画税にあっては,前年度分の課税標準額)を課税標準額とした場合の税額(以下「宅地等調整税額」という。)を超える場合には,当該宅地等調整税額とすること。ただし,宅地等のうち商業地等に係る令和4年度分及び令和5年度分の宅地等調整税額は,当該宅地等調整税額が,当該商業地等の当該年度の価格に10分の6を乗じて得た額を課税標準額とした場合の税額を超える場合には,当該税額とし,当該宅地等の当該年度の価格に10分の2を乗じて得た額を課税標準額とした場合の税額に満たない場合には,当該税額とすること。(附則第17条,第18条,第18条の3,第22条,第24条,第25条,第25条の3,第27条の5,第28条関係)

(二) (一)にかかわらず,商業地等のうち負担水準(前年度課税標準額の当該年度の価格(住宅用地又は市街化区域農地に係る課税標準の特例措置の適用を受ける土地については当該特例措置の適用後の額。以下同じ。)に対する割合をいう。以下同じ。)が0.6以上0.7以下の土地に係る固定資産税及び都市計画税の額については,前年度の税額とすること。(附則第18条,第25条関係)

(三) (一)にかかわらず,商業地等のうち負担水準が0.7を超える土地に係る固定資産税及び都市計画税の額については,当該年度の価格に10分の7を乗じて得た額を課税標準額とした場合の税額とすること。(附則第18条,第25条関係)

(四) 農地に係る固定資産税及び都市計画税の額については,当該農地に係る当該年度分の税額が,前年度分の課税標準額に,負担水準の区分に応じて求める次の表に掲げる負担調整率を乗じて得た額(令和3年度分の固定資産税及び都市計画税にあっては,前年度分の課税標準額)を課税標準額とした場合の税額を超える場合には,当該税額とすること。(附則第17条の4,第19条,第26条関係)

負担水準の区分 負担調整率
0.9以上のもの
0.8以上0.9未満のもの
0.7以上0.8未満のもの
0.7未満のもの
1.025
1.05
1.075
1.1

(五) 三大都市圏の特定市の市街化区域農地に係る固定資産税及び都市計画税の額については,当該市街化区域農地に係る当該年度分の税額が,前年度分の課税標準額に,当該年度の価格に100分の5を乗じて得た額を加算した額(令和3年度分の固定資産税及び都市計画税にあっては,前年度分の課税標準額)を課税標準額とした場合の税額(以下「市街化区域農地調整税額」という。)を超える場合には,当該市街化区域農地調整税額とする措置を講ずること。ただし,令和4年度分及び令和5年度分の市街化区域農地調整税額は,当該市街化区域農地調整税額が,当該市街化区域農地の当該年度の価格に10分の2を乗じて得た額を課税標準額とした場合の税額に満たない場合には,当該税額とする等所要の措置を講ずること。(附則第19条の3,第19条の4,第23条,第27条の2,第27条の5,第28条,第29条の4関係)

(六) 商業地等に係る固定資産税及び都市計画税については,当該年度の価格に10分の6以上10分の7未満の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額を課税標準額とした場合の税額までその税額を減額することができることとすること。(附則第21条,第27条の4,第27条の5関係)

(七) 住宅用地,商業地等及び三大都市圏の特定市の市街化区域農地に係る固定資産税及び都市計画税については,前年度分の課税標準額(前年度分の固定資産税及び都市計画税について,(六)又は(七)の減額が行われている場合は,その減額後の税額に対応する前年度分の課税標準額)に100分の110(令和3年度分の固定資産税及び都市計画税であって,令和2年度分の固定資産税及び都市計画税について,(六)又は(七)の減額が行われている場合は,100分の100)以上の割合で住宅用地,商業地等及び三大都市圏の特定市の市街化区域農地の区分ごとに市町村の条例で定める割合を乗じて得た額を課税標準額とした場合の税額までその税額を減額することができることとすること。(附則第21条の2,第27条の4の2,第27条の5関係)

2  令和4年度分又は令和5年度分の固定資産税に限り,自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において地価が下落し,市町村長が修正前の価格を課税標準とすることが固定資産税の課税上著しく均衡を失すると認める場合には,修正前の価格を修正基準により修正した価格を当該年度分の固定資産税の課税標準とすること。(附則第17条の2,第19条の2,第19条の2の2,第22条関係)

3~17  省略

18  中小事業者等が生産性向上特別措置法に規定する認定先端設備等導入計画に従って取得をした同法に規定する先端設備等に該当する一定の家屋及び構築物に係る固定資産税の課税標準の特例措置について,次のとおり見直した上,その対象資産の取得期限を令和5年3月31日まで延長すること。(附則第64条関係)

(一) 対象に一定の機械装置等を加えること。

(二) 対象を中小企業等経営強化法に規定する認定先端設備等導入計画に従って取得をした同法に規定する先端設備等に該当する資産とすること。

19~21  省略

22  中小事業者等が中小企業等経営強化法に規定する認定先端設備等導入計画に従って取得をした同法に規定する先端設備等に該当する一定の家屋及び償却資産に係る固定資産税の課税標準の特例措置を廃止すること。(附則第64条関係)

七 軽自動車税

省略

八 事業所税

省略

九 その他

1  省略

2  自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合における地方税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存並びに当該電磁的記録の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存について,道府県知事の承認を不要とすること。(第748条,第749条関係)

3~7  省略

第二 地方税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第5号)附則第7条第2項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法附則第1条第5号に掲げる規定による改正前の地方税法に関する事項

前記第一の二の7に伴う所要の措置を講ずること。(第72条の41,附則第9条関係)

第三 地方税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第3号)に関する事項

令和3年4月1日以後に提出する確定申告書について,代表者及び経理責任者等の自署押印を要しないものとすること。(平成30年改正法附則第6条,第38条関係)

第四 地方税法等の一部を改正する法律(令和2年法律第5号)に関する事項

通算法人の過年度の外国税額控除額が過年度の期限内申告書に添付された書類に外国税額控除額として記載された金額を超える一定の場合又は下回る一定の場合には,その差額に相当する金額を進行年度の道府県民税の法人税割額若しくは市町村民税の法人税割額から控除し,又は道府県民税の法人税割額若しくは市町村民税の法人税割額に加算する等所要の措置を講ずること。(令和2年改正法第2条関係)

第五 地方自治法に関する事項

省略

第六 国有資産等所在市町村交付金法に関する事項

省略

第七 航空機燃料譲与税法に関する事項

省略

第八 その他

1  その他所要の規定の整備を行うこと。

2  前記第一の一の1,3及び4並びに九の2から6までの改正は令和4年1月1日から,第一の九の1及び第五の改正は令和4年1月4日から,第一の二の4から8まで及び8の4並びに第二の改正は令和4年4月1日から,第一の六の22の改正は令和5年4月1日から,第一の一の7及び8の改正は令和6年1月1日から,第一の三の2の改正は日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律の施行の日から,第一の六の18及び九の7の改正は産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日から,第一の一の11及び12の改正は産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行の日から,第一の六の12(適用期限を令和5年度まで延長する部分を除く。)の改正は海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日から,第一の六の5の改正は特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律の施行の日から,第一の三の3の改正はマンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律附則第1条第3号に掲げる規定の施行の日から,その他の改正は令和3年4月1日から施行すること。