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[全文公開] 地方税における納税管理人

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令和3年度税制改正では納税管理人制度の見直しにより,非居住者等が納税管理人を選任していなかった場合の措置が講じられる。令和4年1月1日より,一定の場合に税務当局が納税管理人の届出の求め及び指定をすることができるようになるが,同措置は国税だけの適用であって,地方税は対象外だという。

地方税法で規定されている納税管理人とは,各税目の納税義務者が,納税義務を負う市町村内や都道府県内に住所,居所,事務所又は事業所を有しない場合に,代わりに納税に関する一切の事項を処理する者のこと。市町村又は都道府県の条例で定める地域等に住所等を有する者のうちから定めなければならない( 地法72の9300355 等)。

納税管理人に求められる役割は国税も地方税も同じだ。だが,納税管理人が選任されていない場合,国税では罰則がない一方,地方税では一定の過料(行政罰)等( 地法302357 等)の規定が措置されている。そのため,地方税においては国税と同様の改正が見送られているとのことだ。

こうした過料等が科せられないためには,原則,出国する前までに各市町村長等に納税管理人の申告等をする必要がある。地方税の場合,申告様式は自治体ごとにさまざまで,各自治体のHPからダウンロードし,窓口又は郵送の方法で提出するのが通常だ。自治体によってはマイナンバーカードや運転免許証等を用いた本人確認書類の提示等を掲げているところもある。

また,押印欄が設けられている様式も散見されるが,昨今の押印不要の流れを受けて,押印を不要としているところもあるようだ。具体的な手続は,各自治体の窓口で確認する必要があることに留意したい。