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[全文公開] 今週のFAQ(3/4/26)<CFC税制の適用可否を巡る事件の状況>

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№3648 ・8頁の『東京地裁 CFC税制の適用を巡る事件で国勝訴』について,本年3月24日時点では,敗訴した原告が控訴していないとのことでしたが,その後,控訴しましたか?

原告である大手銀行が東京高裁に控訴しました。

本件は,大手銀行が原告となり,平成29年改正前のタックス・ヘイブン対策税制(以下,CFC税制)の適用可否を巡り争われた事件です。原告が,自己資本の増強のため,英領ケイマン諸島に所在する2つのSPC(特別目的会社,各SPC)を活用した資金調達スキームを実施したことが,争いの発端となりました。

本件では,各SPCがCFC税制の判定上,原告の特定外国子会社等に該当し,原告から各SPCへの「劣後ローン」の返済に伴う利息等が合算対象の基礎となる適用対象金額(約84億円)となります。国が,適用対象金額(約84億円)の全額が課税対象金額として,原告の平成28年3月期における益金算入の対象となる旨の更正処分等を行ったことで争いとなりました。

原告は,“資金調達スキームは,自己資本の調達等を目的とするものであり,租税回避の目的も実態もないため,CFC税制を適用することは許されない”などと主張しましたが,東京地裁は,“資金調達スキームが租税回避を目的としたものでないことなどの事情は,仮にこれらの事情が認められるとしても,CFC税制の適用の可否を左右するものではない”などとして,原告の請求を棄却しています。