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[全文公開] ワーケーション旅費等と按分計算

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テレワーク等を活用して観光地等で仕事と休暇を両立させる「ワーケーション」。法人負担で業務部分と私的部分が混在する旅費等を費用計上する際には業務分を按分計算する必要があり,「海外渡航費の取扱いについて(法令解釈通達)」が参考の一つになる。 法人が従業員等に支払う金品等は原則,給与課税の対象となる( 所法28 )。だが,勤務する場所を離れて職務遂行のために支出された旅費等は,通常必要とされる範囲内の支出であれば,給与課税されない( 所法9 ①四, 所基通9-3 )。

ワーケーションの旅費等は職務遂行上,直接必要と認められる旅行と認められない旅行が混在することから,原則,合理的な按分計算が必要となる。ただ,コロナ禍の現況を踏まえると,ワーケーションの行先は国内が現実的。業務分の按分計算とはいえ,海外を想定とする取扱いを,国内のケースに当てはめられるのかという懸念もあるところだ。

この点,海外渡航費の取扱いとは,同業者団体等が行う視察等に際して支給する費用で,旅行費用の総額のうち通常必要であると認められる額に,業務従事割合を基礎とした損金の割合を乗じて,職務遂行上必要と認められる部分を計算する。旅費等を区分して費用計上する際の判断基準の一つになると考えられるため,個々の状況を前提にするものの,課非判定の参考にできるという。

とはいえ,海外視察が前提の取扱いのため,混在するケースが全て当てはまるわけではない。海外渡航費の取扱いを参考にしない場合は,従業員の行うワーケーションが休暇主体か仕事主体かで判断する方法もあるだろう。

休暇主体であれば,その場所で職務を行う必要性がないため,給与課税の対象となる。一方,仕事主体であれば,行先や経路,期間等の個々の事実関係を総合的に判断した上で,職務遂行が主目的であると認められる場合に「旅費」として取り扱うことができる( №3650 )。