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[全文公開] 地積規模の大きな宅地の評価と市街地農地

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平成30年1月1日より,土地の相続税評価額を算定する「広大地の評価」が「地積規模の大きな宅地の評価」(以下,同評価)に変更された。同評価の適用要件をすべて満たせば,農地法上の市街地農地や,都市計画法の用途地域が商業地域等の土地であっても適用できる。

「地積規模の大きな宅地の評価」とは,地積が1,000㎡(三大都市圏は500㎡)以上の宅地を戸建住宅用地として分割分譲する際に発生する減価を評価額に反映するもの( 評基通20-2 )。

地積要件のほか,指定容積率が400%未満等を満たす一定の地域に所在すること,路線価地域では普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在することなどの要件がある。

例えば,要件をすべて満たす“市街地農地”の価額を宅地比準方式で求める場合,その計算で使用する「その農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」は,同評価で計算することになる( 評基通40 ,国税庁・質疑応答事例「地積規模の大きな宅地の評価-計算例⑦(市街地農地の場合)」)。

ただし,同評価の適用要件を満たす“市街地農地”であっても,経済合理性や物理的な観点から宅地へ転用し,戸建住宅用地としての分割分譲が想定できないものについては,同評価を適用できない(同・質疑応答事例「地積規模の大きな宅地の評価-市街地農地等」)。具体的には,田んぼなどの地盤が緩い市街地農地を宅地へ転用するために多額の造成費を要してしまうケースなどは,経済的合理性に欠けるため適用できないとのことだ。

なお,同評価の対象となる宅地の評価額は,その宅地が路線価地域に所在する場合,路線価に,奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか,規模格差補正率を乗じて求めた価額に,地積を乗じて計算する。