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[全文公開] 資料 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(3年7月)〈抜粋〉

( 41頁)

令和3年7月 国税庁〔編注:抜粋して掲載〕

Ⅰ 通則

【制度の概要等】

3  電子メールを受信した場合,どのように保存すればよいのでしょうか。

電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)を行った場合についても電子取引に該当するため(法2五),その取引情報に係る電磁的記録の保存が必要となります(法7)。具体的に,この電磁的記録の保存とは,電子メール本文に取引情報が記載されている場合は当該電子メールを,電子メールの添付ファイルにより取引情報(領収書等)が授受された場合は当該添付ファイルを,それぞれ,ハードディスク,コンパクトディスク,DVD,磁気テープ,クラウド(ストレージ)サービス等に記録・保存する状態にすることをいいます。

4  当社は以下のような方法により仕入や経費の精算を行っていますが,データを保存しておけば出力した書面等の保存は必要ありませんか。

(1) 電子メールにより請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)を受領

(2) インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)又はホームページ上に表示される請求書や領収書等のスクリーンショットを利用

(3) 電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用

(4) クレジットカードの利用明細データ,交通系ICカードによる支払データ,スマートフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用

(5) 特定の取引に係るEDIシステムを利用

(6) ペーパレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用

(7) 請求書や領収書等のデータをDVD等の記録媒体を介して受領

(1)~(7)のいずれも「電子取引」(法2五)に該当すると考えられますので,所定の方法により取引情報(請求書や領収書等に通常記載される日付,取引先,金額等の情報)に係るデータを保存しなければなりません(令和3年度の税制改正前はそのデータを出力した書面等により保存することも認められていましたが,改正後は,当該出力した書面等の保存措置が廃止され,当該出力した書面等は,保存書類(国税関係書類以外の書類)として取り扱わないこととされました。

データ保存に当たっては,以下の点に留意が必要です。

イ (1)及び(2)については一般的に受領者側におけるデータの訂正削除が可能と考えますので,受領したデータに規則第4条第1項第1号のタイムスタンプの付与が行われていない場合には,受領者側でタイムスタンプを付与すること又は同項4号に定める事務処理規程に基づき,適切にデータを管理することが必要です。また,対象となるデータは検索できる状態で保存することが必要ですので,当該データが添付された電子メールについて,当該メールソフト上で閲覧できるだけでは十分とは言えません。

ロ (3)~(5)については,取引情報(請求書や領収書等に通常記載される日付,取引先,金額等の情報)に係るデータについて,訂正削除の記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用していれば,電子取引の保存に係る要件を満たすと考えられます。他方,例えば,クラウド上で一時的に保存されたデータをダウンロードして保存するようなシステムの場合には,イと同様の点に留意する必要があります。

ハ (6)及び(7)については,一般的に受領者側におけるデータの訂正削除が可能と考えますので,受領したデータに規則第4条第1項第1号のタイムスタンプの付与が行われていない場合には,受領者側でタイムスタンプを付与すること又は同項第4号に定める事務処理規程に基づき,適切にデータを管理することが必要です。

ニ (1)~(7)のいずれの場合においても,データは各税法に定められた保存期間が満了するまで保存する必要があります。

ホ 取引慣行や社内のルール等により,データとは別に書面の請求書や領収書等を原本として受領している場合は,その原本(書面)を保存する必要があります。

ヘ 現行,消費税の仕入税額控除の適用に当たっては,必要な事項が記載された帳簿及び請求書等(書面)の保存が必要ですが,取引金額が3万円未満の場合や,3万円以上でも「電子取引」のようにデータのみが提供されるなど,書面での請求書等の交付を受けなかったことにやむを得ない理由がある場合には,帳簿のみを保存することにより仕入税額控除の適用を受けることができます。なお,令和5年10月以降は,帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができるのは,法令に規定された取引に限られることとなります。したがって,「電子取引」を行った場合に仕入税額控除の適用を受けるためには,軽減税率の対象品目である旨や税率ごとに合計した対価の額など適格請求書等として必要な事項を満たすデータ(電子インボイス)の保存が必要となります。

また,電子取引の取引情報に係る電磁的記録を出力した書面等については,保存書類(国税関係書類以外の書類)として取り扱わないこととされましたが,消費税法上,電子インボイスを整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面を保存した場合には,仕入税額控除の適用を受けることができます。

8  従業員が会社の経費等を立て替えた場合において,その従業員が支払先から領収書を電子データで受領した行為は,会社としての電子取引に該当しますか。該当するとした場合には,どのように保存すればよいのでしょうか。

従業員が支払先から電子データにより領収書を受領する行為についても,その行為が会社の行為として行われる場合には,会社としての電子取引に該当します。そのため,この電子取引の取引情報に係る電磁的記録については,従業員から集約し,会社として取りまとめて保存し,管理することが望ましいですが,一定の間,従業員のパソコンやスマートフォン等に保存しておきつつ,会社としても日付,金額,取引先の検索条件に紐づく形でその保存状況を管理しておくことも認められます。

なお,この場合においても,規則第4条第1項各号に掲げる措置を行うとともに,税務調査の際には,その従業員が保存する電磁的記録について,税務職員の求めに応じて提出する等の対応ができるような体制を整えておく必要があり,電子データを検索して表示するときは,整然とした形式及び明瞭な状態で,速やかに出力することができるように管理しておく必要があります(【問23】参照)。

【解説】

法人税法上,会社業務として従業員が立替払いした場合には,原則,当該支払が会社の費用として計上されるべきものであることから,従業員が立替払いで領収書を電子データで受領した行為は,会社の行為として,会社と支払先との電子取引に該当すると考えることができます。そのため,この電子取引の取引情報に係る電磁的記録については,従業員から集約し,会社として保存し,管理する必要がありますが,会社の業務フロー上,打ち出された紙ベースでの業務処理が定着しており,直ちに電子データを集約する体制を構築することが困難な場合も存在することも想定され得ることから,一定の間,従業員のパソコンやスマートフォン等により,請求書データを格納する方法により保存することを認めることを明らかにしたものです。なお,この場合においても,当該電子データの真実性確保の要件等を満たす必要があることから,例えば,正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理規程に従って保存を行う等,規則第4条の規定に従って保存を行う必要があります。

また,このような場合であっても,本社の経理部等において一定の方法により規則性をもって検索することが可能な体制を構築することが求められるのは,税務調査の際には,税務職員の求めに応じて電磁的記録の提出を行う等の対応が求められることから,円滑に集約が行えるような状態として保存しておく必要があるためです。したがって,結果として,税務調査の際に保存データの検索を行うに当たって特段の措置が取られておらず,整然とした形式及び明瞭な状態で,速やかに出力することができないような場合には,会社として,その電磁的記録を適正に保存していたものとは認められない点に注意してください。

9  当社の課税期間は,令和3年4月1日から令和4年3月31日までですが,令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報については,課税期間の途中であっても,令和3年度の税制改正後の要件で保存しなければならないのでしょうか。

令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報については,改正後の保存要件により保存しなければなりません。

【解説】

令和3年度税制改正における電子帳簿保存法の改正の施行日は令和4年1月1日であり,同日以後に行う電子取引の取引情報については改正後の要件に従って保存を行う必要があります(令3改正法附則82⑥)。

したがって,同一課税期間に行う電子取引の取引情報であっても,令和3年12月31日までに行う電子取引と令和4年1月1日以後行う電子取引とではその取引情報の保存要件が異なることとなりますので注意してください。

10  当社の課税期間は,令和3年4月1日から令和4年3月31日までですが,令和4年1月1日以後に保存を行えば,同日前に行った電子取引の取引情報について,令和3年度の税制改正後の保存要件に従って保存することは認められますか。

令和4年1月1日前に行った電子取引の取引情報については,改正後の保存要件により保存することは認められません。

【解説】

令和3年度税制改正における電子帳簿保存法の改正の施行日は令和4年1月1日であり,電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度に関する改正は,同日以後に行う電子取引の取引情報について適用することとされています(令3改正法附則82⑥)。そのため,同日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録については,改正後の保存要件により保存を行わなければならないこととされています。一方で,同日前に行った電子取引の取引情報に係る電磁的記録については,改正後の保存要件により保存することは認められませんので,その電磁的記録について,改正前の保存要件(記録項目が限定される等の措置が講じられる前の検索機能の確保の要件等)を満たせないものについては,その電磁的記録を出力した書面等を保存して頂く必要があります(同日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録については,今回の改正が適用され,電磁的記録を出力した書面等を保存する措置は廃止されますので注意してください。)。

Ⅱ 適用要件

【基本的事項】

12  妻と2人で事業を営んでいる個人事業主です。取引の相手方から電子メールにPDFの請求書が添付されて送付されてきました。一般的なパソコンを使用しており,プリンタも持っていますが,特別な請求書等保存ソフトは使用していません。どのように保存しておけばよいですか。

例えば,以下のような方法で保存すれば要件を満たしていることとなります。

1 請求書データ(PDF)のファイル名に,規則性をもって内容を表示する。

例)2022年(令和4年)10月31日に株式会社国税商事から受領した110,000円の請求書

  ⇒「20221031_(株)国税商事_110,000」

2 「取引の相手先」や「各月」など任意のフォルダに格納して保存する。

3 【問24】に記載の規程を作成し備え付ける。

※ 税務調査の際に,税務職員からダウンロードの求めがあった場合には,上記のデータについて提出してください。

※ 判定期間に係る基準期間(通常は2年前です。)の売上高が1,000万円以下であり,上記のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には,上記1の設定は不要です。

【解説】

令和3年度の税制改正により電子取引の取引情報に係る電磁的記録については,電磁的記録を出力した書面等を保存する措置は廃止され,その電磁的記録(データ)を保存しなければならないこととされました。

請求書データ等の保存に当たっては,一定の要件に従った保存が必要ですが,上記の方法により保存することで要件を満たすこととなると考えられます。

なお,上記1の代わりに,索引簿を作成し,索引簿を使用して請求書等のデータを検索する方法によることも可能です。

(索引簿の作成例)

受領した請求書等データのファイル名に連番を付して,内容については索引簿で管理する。

※ 上記の索引簿(サンプル)については,こちらからダウンロードできます。

14  税務当局から電磁的記録の書面への出力を求められた場合には,画面印刷(いわゆるハードコピー)による方法も認められますか。

規則第2条第2項第2号において,電磁的記録の画面及び書面への出力は「整然とした形式及び明瞭な状態で,速やかに出力することができる」ことと規定されており,この場合の「整然とした形式」とは,書面により作成される場合の帳簿書類に準じた規則性を有する形式をいいます(取扱通達4-8)。

そのため,整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できれば,画面印刷(いわゆるハードコピー)であっても認められます。

なお,この取扱いは,画面及び書面に出力することができるようにしておくことを意味するものであり,電子取引に係る電磁的記録を出力した書面等を保存することを認めるものではありませんので注意してください。

【解説】

税務調査の際の電磁的記録の画面及び書面への出力に当たっては,書面により作成される場合の帳簿書類に準じた規則性を有する形式になっている必要がありますが,その形式については定めがないため,画面印刷(いわゆるハードコピー)であっても要件を満たせば認められます。

17  保存対象となるデータ量が膨大であるため複数の保存媒体に保存しており,一課税期間を通じて検索できませんが,問題はありますか。

保存されている電磁的記録は,原則として一課税期間を通じて検索をすることができる必要があります。

【解説】

国税関係書類の電磁的記録の検索機能については,「その範囲を指定して条件を設定することができる」とは,課税期間ごとに日付又は金額の任意の範囲を指定して条件設定を行い検索ができることをいうとされており(取扱通達4-10),電子取引に係る電磁的記録も,原則として,一課税期間ごとに検索をすることができる必要があります。

しかしながら,データ量が膨大であるなどの理由で複数の保存媒体で保存せざるを得ない場合や,例えば,中間決算を組んでおり半期ごとに帳簿を作成している場合や取引先ごとに指定のEDIやプラットフォームがある場合など,一課税期間を通じて検索をすることが困難であることについて合理的な理由があるときには,その合理的な期間ごとに範囲を指定して検索をすることができれば差し支えありません。

なお,税務職員による質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合は,この範囲を指定して条件を設定できる機能(及び項目を組み合わせて条件を設定できる機能)の確保は不要となります(また,この場合において,判定期間に係る基準期間における売上高が1,000万円以下の事業者については全ての検索機能の確保の要件が不要となります(【問34】参照)。)。

20  クラウドサービスの利用や,サーバを海外に置くことは認められますか。

規則第2条第2項第2号に規定する備付け及び保存をする場所(以下「保存場所」といいます。)に備え付けられている電子計算機とサーバとが通信回線で接続されているなどにより,保存場所において電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に,規則第2条第2項第2号に規定する状態で速やかに出力することができるときは,クラウドサービスを利用する場合や,サーバを海外に置いている場合であっても,当該電磁的記録は保存場所に保存等がされているものとして取り扱われます。

【解説】

近年,コンピュータのネットワーク化が進展する中,通信回線のデータ送信の高速化も進み,コンピュータ間でデータの送受信が瞬時にできる状況となっていますが,電子帳簿保存法の趣旨(法第1条)を踏まえ,保存場所に備え付けられている電子計算機と国税関係帳簿書類の作成に使用する電子計算機とが通信回線で接続されていることなどにより,保存場所において電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に,それぞれの要件に従って,速やかに出力することができるときは,当該電磁的記録は保存場所に保存等がされているものとして取り扱われます(取扱通達4-7注書き)。

そして,現在,企業が会計処理をはじめとする業務処理を外部委託する場合には,受託企業の大半が国内外の複数の場所にあるコンピュータをネットワーク化してデータ処理し,国内外のサーバにデータを保存している状況となっていますが,前述の点を踏まえれば,仮に電磁的記録が海外にあるサーバに保存されている場合(保存要件を満たしている場合に限ります。)であっても,納税地にある電子計算機において電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に,整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力することができる等,当該取引情報の送付又は受領が紙ベースで行われたとした場合に納税地に保存されているのと同様の状態にあれば,納税地に保存等がされているものとして取り扱われます。

なお,バックアップデータの保存については,法令上の要件とはなっていませんが,通信回線のトラブル等による出力障害を回避するという観点からバックアップデータを保存することが望まれます。

21  電子取引で授受したデータについて,所得税法・法人税法と消費税法で取扱いにどのような違いがあるのですか。

令和3年度の税制改正により,所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税に係る保存義務者については,令和4年1月1日以後行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録を書面やマイクロフィルム(以下「書面等」といいます。)に出力して保存する措置が廃止されましたので,その電磁的記録を一定の要件の下,保存しなければならないこととされました。

一方,消費税に係る保存義務者が行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存については,その保存の有無が税額計算に影響を及ぼすことなどを勘案して,令和4年1月1日以後も引き続き,その電磁的記録を書面に出力することにより保存することも認められています(令和5年10月の適格請求書等保存方式の導入に伴う電子インボイスの保存についても,【問4】のとおり一定の方法により出力した書面の保存により仕入税額控除の適用が可能です。)。

【保存方法】

22  請求書や領収書等を電子的に(データで)受け取った場合,どのように保存すればよいですか。

電子的に受け取った請求書や領収書等については,データのまま保存しなければならないこととされており(法7),その真実性を確保する観点から,以下のいずれかの条件を満たす必要があります(規4①)。

(1) タイムスタンプが付与されたデータを受領(規4①一)

(2) 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後,速やかに)タイムスタンプを付与(規4①二)

※ 括弧書の取扱いは,取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの各事項に処理に関する規程を定めている場合に限る。

(3) データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用(規4①三)

(4) 訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定,運用,備付け(規4①四)

また,事後的な確認のため,検索できるような状態で保存すること(規2⑥六)や,ディスプレイ等の備付け(規2②一イ,二)も必要となります。

23  電子取引の取引データの保存について,複数の改ざん防止措置が混在することは認められますか。また,電子データの格納先(保存場所)を複数に分けることは認められますか。

電子取引の取引データの授受の方法は種々あることから,その授受したデータの様態に応じて複数の改ざん防止措置が混在しても差し支えありません。

また,電子データの格納先や保存方法についても,取引データの授受の方法等に応じて複数に分かれることは差し支えありませんが,電子データを検索して表示する場合には,整然とした形式及び明瞭な状態で,速やかに出力することができるように管理しておく必要があります。

【解説】

規則第4条第1項に規定する電子取引の取引データの保存要件(改ざん防止措置)については,それぞれ同項各号に掲げる措置(①タイムスタンプが付された後の授受②授受後速やかにタイムスタンプを付す等③データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用④訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け)のうちいずれかのものを行うこととされていますが,これらの措置は保存義務者の任意により自由に選択することが可能となっています。

電子取引に該当する取引データの授受の方法は種々であることからも,その授受したデータの様態に応じて複数の改ざん防止措置を使い分けることは認められます。

また,電子データの格納先や保存場所についても,例えば,取引の相手先ごとに取引データの授受を行うシステムが異なっている場合において,各取引データについて,必ず一つのシステムに集約して管理しなければならないとすることは合理的でないと考えられますので,取引データの授受の方法等に応じて保存場所が複数のシステムに分かれること等は差し支えありません。ただし,当該電子データについては,ディスプレイ等に整然とした形式及び明瞭な状態で,速やかに出力することができるようにしておく必要があるため,例えば,A取引先についてはaシステムに,B取引先についてはbシステムに,それぞれ取引データが格納されていることが分かるようにしておく等の管理が必要であると考えられます。

したがって,同じ取引先から毎月同一のシステムを介して請求書データをやり取りしているにもかかわらず,合理的な理由がない状態で規則性なく保存先を散逸させ,保存データの検索を行うに当たっても特段の措置がとられず,整然とした形式及び明瞭な状態で,速やかに出力することができないような場合は,その保存方法については認められないこととなります。

24  電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に当たり,規則第4条第1項第4号に規定する「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程」を定めて運用する措置を行うことを考えていますが,具体的にどのような規程を整備すればよいのでしょうか。

規則第4条第1項第4号に規定する「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程」は,当該規程によって電子取引の取引情報に係る電磁的記録の真実性を確保する観点から必要な措置として要件とされたものです。

この規程については,どこまで整備すればデータ改ざん等の不正を防ぐことができるのかについて,事業規模等を踏まえて個々に検討する必要がありますが,必要となる事項を定めた規程としては,例えば,次のようなものが考えられます。

なお,規程に沿った運用を行うに当たっては,業務ソフトに内蔵されたワークフロー機能で運用することとしても差し支えありません。


(法人の例)

※ 下記の規程(サンプル)については,こちらからダウンロードできます。

電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程

第1章 総則

(目的)

第1条  この規程は,電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例に関する法律第7条に定められた電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務を履行するため,○○において行った電子取引の取引情報に係る電磁的記録を適正に保存するために必要な事項を定め,これに基づき保存することを目的とする。

(適用範囲)

第2条  この規程は,○○の全ての役員及び従業員(契約社員,パートタイマー及び派遣社員を含む。以下同じ。)に対して適用する。

(管理責任者)

第3条  この規程の管理責任者は,●●とする。

第2章 電子取引データの取扱い

(電子取引の範囲)

第4条  当社における電子取引の範囲は以下に掲げる取引とする。

一 EDI取引

二 電子メールを利用した請求書等の授受

三 ■■(クラウドサービス)を利用した請求書等の授受

四 ・・・・・・

記載に当たってはその範囲を具体的に記載してください

(取引データの保存)

第5条  取引先から受領した取引関係情報及び取引相手に提供した取引関係情報のうち,第6条に定めるデータについては,保存サーバ内に△△年間保存する。

(対象となるデータ)

第6条  保存する取引関係情報は以下のとおりとする。

一 見積依頼情報

二 見積回答情報

三 確定注文情報

四 注文請け情報

五 納品情報

六 支払情報

七 ▲▲

(運用体制)

第7条  保存する取引関係情報の管理責任者及び処理責任者は以下のとおりとする。

一 管理責任者 ○○部△△課 課長 XXXX

二 処理責任者 ○○部△△課 係長 XXXX

(訂正削除の原則禁止)

第8条  保存する取引関係情報の内容について,訂正及び削除をすることは原則禁止とする。

(訂正削除を行う場合)

第9条  業務処理上やむを得ない理由によって保存する取引関係情報を訂正または削除する場合は,処理責任者は「取引情報訂正・削除申請書」に以下の内容を記載の上,管理責任者へ提出すること。

一 申請日

二 取引伝票番号

三 取引件名

四 取引先名

五 訂正・削除日付

六 訂正・削除内容

七 訂正・削除理由

八 処理担当者名

2 管理責任者は,「取引情報訂正・削除申請書」の提出を受けた場合は,正当な理由があると認める場合のみ承認する。

3 管理責任者は,前項において承認した場合は,処理責任者に対して取引関係情報の訂正及び削除を指示する。

4 処理責任者は,取引関係情報の訂正及び削除を行った場合は,当該取引関係情報に訂正・削除履歴がある旨の情報を付すとともに「取引情報訂正・削除完了報告書」を作成し,当該報告書を管理責任者に提出する。

5 「取引情報訂正・削除申請書」及び「取引情報訂正・削除完了報告書」は,事後に訂正・削除履歴の確認作業が行えるよう整然とした形で,訂正・削除の対象となった取引データの保存期間が満了するまで保存する。

附則

(施行)

第10条  この規程は,令和○年○月○日から施行する。


(個人事業者の例)

※ 下記の規程(サンプル)については,こちらからダウンロードできます。

電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程

この規程は,電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例に関する法律第7条に定められた電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務を適正に履行するために必要な事項を定め,これに基づき保存することとする。

(訂正削除の原則禁止)

保存する取引関係情報の内容について,訂正及び削除をすることは原則禁止とする。

(訂正削除を行う場合)

業務処理上やむを得ない理由(正当な理由がある場合に限る。)によって保存する取引関係情報を訂正又は削除する場合は,「取引情報訂正・削除申請書」に以下の内容を記載の上,事後に訂正・削除履歴の確認作業が行えるよう整然とした形で,当該取引関係情報の保存期間に合わせて保存するとことをもって当該取引情報の訂正及び削除を行う。

一 申請日

二 取引伝票番号

三 取引件名

四 取引先名

五 訂正・削除日付

六 訂正・削除内容

七 訂正・削除理由

八 処理担当者名

この規程は,令和○年○月○日から施行する。


30  具体的にどのようなシステムであれば,訂正又は削除の履歴の確保の要件を満たしているといえるのでしょうか。

規則第4条第1項第3号に規定する訂正又は削除の履歴の確保の要件を満たしたシステムとは,例えば,

① 電磁的記録の記録事項に係る訂正・削除について,物理的にできない仕様とされているシステム

② 電磁的記録の記録事項を直接に訂正又は削除を行った場合には,訂正・削除前の電磁的記録の記録事項に係る訂正・削除の内容について,記録・保存を行うとともに,事後に検索・閲覧・出力ができるシステム

等が該当するものと考えます。

【解説】

規則第4条第1項第3号に規定する電子計算機処理システムについて,具体的には,例えば,他者であるクラウド事業者が提供するクラウドサービスにおいて取引情報をやりとり・保存し,利用者側では訂正削除できない,又は訂正削除の履歴(ヴァージョン管理)が全て残るクラウドシステムであれば,通常,当該電子計算機処理システムの要件を満たしているものと考えられます。

【検索機能】

31  電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に当たり,検索機能で注意すべき点はありますか。

電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に当たり,以下の要件を満たす検索機能を確保する必要があります。

(1) 取引年月日その他の日付,取引金額及び取引先を検索の条件として設定することができること。

(2) 日付又は金額に係る記録項目については,その範囲を指定して条件を設定することができること。

(3) 二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。

【解説】

検索機能については,規則第2条第6項第6号で定められており,例えば,取引年月日,取引先名称及び取引金額により,二以上の記録項目を組み合わせて条件を設定することができることとされています。

また,日付又は金額に係る記録項目については,その範囲を指定して条件を設定することができることとされています。取引情報の保存については,サーバ等に保存する場合や,クラウドサービス等を利用する場合が考えられますが,その保存方法にかかわらず,保存義務者はこれらの条件を満たして検索をすることができる必要があります。

なお,当該電磁的記録について,税務職員による質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には,(2)及び(3)の要件は不要となります(また,この場合において,判定期間に係る基準期間における売上高が1,000万円以下の事業者については全ての検索機能の確保の要件が不要となります(【問34】参照)。)。

32  規則第2条第6項第6号ハの「二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること」には,「AかつB」のほか「A又はB」といった組合せも含まれますか。また,一の記録項目により検索をし,それにより探し出された記録事項を対象として,別の記録項目により絞り込みの検索をする方式は,要件を満たすこととなりますか。

「A又はB」の組合せは必要ありません。また,段階的な検索ができるものも要件を満たすこととなります。

【解説】

検索機能については,規則第2条第6項第6号で,検索の条件として設定した記録項目(取引年月日その他の日付,取引金額及び取引先)により,二以上の記録項目を組み合わせて条件を設定することができることとされています。この場合の二の記録項目の組合せとしては,「AかつB」と「A又はB」とが考えられますが,このうち,「A又はB」の組合せについては,それぞれの記録項目により二度検索するのと実質的に変わらない(当該組合せを求める意味がない)ことから,これを求めないこととしています。

また,「二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること」とは,必ずしも「AかつB」という組合せで検索できることのみをいうのではなく,一の記録項目(例えば「A」)により検索をし,それにより探し出された記録事項を対象として,別の記録項目(例えば「B」)により再度検索をする方式も結果は同じであることから要件を満たすこととなります。

なお,当該電磁的記録について,税務職員による質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には,この項目を組み合わせて条件を設定できる機能(及び範囲を指定して条件を設定できる機能)は不要となります(また,この場合において,判定期間に係る基準期間における売上高が1,000万円以下の事業者については全ての検索機能の確保の要件が不要となります(【問34】参照)。)。

33  当社には電子取引の取引データを保存するシステムがありませんが,電子取引の取引データを保存する際の検索機能の確保の要件について,どのような方法をとれば要件を満たすこととなりますか。

電子取引の取引情報に係る電磁的記録(電子取引の取引データ)を保存するシステムがない場合に検索機能の確保の要件を満たす方法としては,例えば,エクセル等の表計算ソフトにより,取引データに係る取引年月日その他の日付,取引金額,取引先の情報を入力して一覧表を作成することにより,当該エクセル等の機能により,入力された項目間で範囲指定,二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件設定をすることが可能な状態であれば,検索機能の確保の要件を満たすものと考えられます。

その他,当該保存すべき取引データについて,税務職員のダウンロードの求めに応じることができるようにしておき,当該取引データのファイル名を「取引年月日その他の日付」,「取引金額」,「取引先」を含み,統一した順序で入力しておくことで,取引年月日その他の日付,取引金額,取引先を検索の条件として設定することができるため,検索機能の確保の要件を満たすものと考えられます。

(一覧表の作成により検索機能を満たそうとする例)

ファイル名には①,②,・・・と通し番号を入力する。

エクセル等により以下の表を作成する。

(ファイル名の入力により検索機能を満たそうとする例)

2022年(令和4年)11月30日付の株式会社霞商事からの20,000円の請求書データの場合

⇒「20221130_(株)霞商事_20,000」)

※ 取引年月日その他の日付は和暦でも西暦でも構いませんが,混在は抽出機能の妨げとなることから,どちらかに統一して入力していただく必要があります。

【解説】

検索機能については,規則第2条第6項第6号で定められているとおり,①取引年月日その他の日付,取引金額,取引先を検索の条件として設定することができること②日付又は金額に係る記録項目については,その範囲を指定して条件を設定することができること③二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること,の3つの要件が求められています。

そこで,電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存するための専用のソフトウェア等を使用していない場合でも,例えば,エクセル等の表計算ソフトにより,取引データに係る取引年月日その他の日付,取引金額,取引先の情報を入力した一覧表を作成することにより,エクセル等の表計算ソフトの機能によって,入力された項目間で範囲指定,2項目以上の組み合わせで条件設定の上抽出が可能であれば,上記①~③のいずれの機能も満たすものと考えられます。

この方法により保存する場合には,エクセル等の表計算ソフトの一覧表の通し番号を付すなどして,一覧表から取引データを検索できるようにする必要があります。

34  電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存する際の要件のうち,検索機能の確保の要件が不要とされる場合の「判定期間に係る基準期間の売上高が1,000万円以下の場合」とは,どのように判断すればよいのでしょうか。

個人事業者については,電子取引が行われた日の属する年の前々年の1月1日から12月31日までの期間の売上高,法人については,電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事業年度の売上高が1,000万円を超えるかどうかで判断します。

なお,売上高が1,000万円を超えるかどうかの判断基準については, 消費税法第9条 の小規模事業者に係る納税義務の免除の課税期間に係る基準期間における課税売上高の判断基準の例によりますが,例えば,判定期間に係る基準期間がない新規開業者,新設法人の初年(度),翌年(度)の課税期間などについては,検索機能の確保の要件が不要となります。

【タイムスタンプ】

36  「速やかに」タイムスタンプを付与することとしている場合で,やむを得ない事由によりおおむね7営業日以内にタイムスタンプを付与できない場合は要件違反となるのでしょうか。

おおむね7営業日以内にタイムスタンプを付与できない特別な事由がある場合に,そのおおむね7営業日以内にタイムスタンプを付与することができない事由が解消した後直ちに付与したときには,速やかにタイムスタンプを付与したものとして取り扱われます。

【解説】

電子取引の取引情報に係る電磁的記録の記録事項について,データ改ざんの可能性を低くする観点からは,電子取引により取引情報を授受した後直ちに行うことが望まれますが,休日等をまたいで処理する場合があることも勘案し,7営業日を基本とすることが合理的と考えられます。

さらに,業種業態によっては必ずしも7営業日以内にタイムスタンプを付与することができない場合(例えば,毎日事務所へ出勤しない勤務形態の社員がタイムスタンプの処理を行う場合等)も考えられ,それらを一律に排除することは経済実態上合理的ではないことから,おおむね7営業日以内に付与すれば速やかにタイムスタンプを付与しているものとして取り扱うこととされています。

また,おおむね7営業日でタイムスタンプを付与できないような特別な事由が存在する場合には,その事由が解消した後直ちに付与することによって,規則第4条第1項第2号に規定する「速やかに」タイムスタンプを付すことの目的は達せられると考えられます。

なお,規則第4条第3項の規定により,災害その他やむを得ない事情が生じ,保存要件を満たせなかったことを証明した場合には,保存要件を満たしていなくても電磁的記録の保存を行うことができることとされています。

おって,機器のメンテナンスを怠ったことにより,スキャナ機器の故障が生じた場合など明らかに保存義務者の責めに帰すべき事由が存在するときには,これらの取扱いはないこととなります。

37  「業務の処理に係る通常の期間を経過した後,速やかに行う」とは何日以内にタイムスタンプを付与すればよいのでしょうか。

最長では,電子取引の取引情報に係る電磁的記録を授受してから2か月とおおむね7営業日以内にタイムスタンプを付与すればよいこととなります。

【解説】

「その業務の処理に係る通常の期間」とは,スキャナ保存における考え方と同様であり,それぞれの企業において採用している業務処理サイクルの期間をいい,また,おおむね7営業日以内に付与している場合には「速やかに」行っているものと取り扱う(取扱通達4-17)ことから,仮に2週間を業務処理サイクルとしている企業であれば2週間とおおむね7営業日以内,20日を業務処理サイクルとしている企業であれば20日とおおむね7営業日以内にタイムスタンプを付与すればよいこととなります。

なお,最長2か月の業務処理サイクルであれば「その業務の処理に係る通常の期間」として取り扱う(取扱通達4-18)ことから,規則第4条第1項第2号ロに規定する「その業務の処理に係る通常の期間を経過した後,速やかに行うこと」については,電子取引の取引情報に係る電磁的記録を授受してから最長2か月とおおむね7営業日以内にタイムスタンプを付与すればよいこととなります。

また,この場合,最長2か月とは暦の上での2か月をいうことから,例えば4月21日に受領した取引データの場合,業務処理サイクルの最長2か月は6月20日であり,そのおおむね7営業日後までにタイムスタンプを付与すればよいこととなります。

【その他】

38  自社で使用する電子取引用のソフト等について,電子帳簿保存法の要件を満たしているか分からないのですが,どのようにしたらよいですか。

まずは当該ソフトウェアの取扱説明書等で電子帳簿保存法の要件を満たしているか確認してください。また,公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(以下「JIIMA」といいます。)において,市販のソフトウェア及びソフトウェアサービス(以下「ソフトウェア等」といいます。)を対象に,電子帳簿保存法における要件適合性の確認(認証)を行っており,JIIMAが確認(認証)したソフトウェア等については,そちらでも確認することができます。

【解説】

従前は,使用する電子取引用のソフト等が電子帳簿保存法の要件に適合しているかについて,商品の表示等のみに頼っている状況でした。こうした状況を踏まえ,保存義務者の予見可能性を向上させる観点から,JIIMAがソフトウェア等の法的要件認証制度を開始しました。

なお,電子帳簿保存法の保存等の要件には,事務手続関係書類の備付けに関する事項等,機能に関する事項以外の要件もあり,それらを含め全ての要件を満たす必要がありますので注意してください。

39  公益社団法人日本文書情報マネジメント協会により認証されたソフトウェア等とはどのようなものでしょうか。

公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(以下「JIIMA」といいます。)が電子帳簿保存法に規定する機能要件に適合するか機能の仕様について取扱説明書等で確認を行い,法的要件を満たしていると判断し認証されたソフトウェア等をいいます。

また,認証を受けたソフトウェア等は,国税庁及びJIIMAのホームページに記載される認証製品一覧表に明示されるほか,当該ソフトウェア等の説明書等に認証番号などが記載されています。

認証制度開始時からの電子帳簿(法4①)及びスキャナ保存(法4③)用のソフトウェア等に係る認証制度に加えて,令和3年4月以降は,電子書類(法4②)及び電子取引(法7)に係るソフトウェア等についても認証を行っています。

なお,認証を受けたソフトウェア等は,以下に示す「認証ロゴ」を使用できることから,そのソフトウェアがJIIMAから認証されたものであるか否かについては,この認証ロゴによって判断することもできます。ただし,以下の「認証ロゴ」は令和3年6月現在で使用しているものを記載していますので,使用に当たっては説明書等で認証番号などを確認していただくようお願いします。

(参考)

《認証ロゴ(令和3年6月現在使用されている主なもの)》

認証ロゴを使用できる場所

認証製品の梱包材,製品マニュアル,技術マニュアル,仕様書WEBページ 等

【国税庁HPの掲載場所】

ホーム/法令等/その他法令解釈に関する情報/電子帳簿保存法関係/JIIMA認証情報リスト

40  電子データに関連して改ざん等の不正が把握されたときには重加算税が加重されるとのことですが,具体的にはどのような場合に加重の対象となるのでしょうか。

電子取引により授受した取引データを削除,改ざんするなどして,売上除外や経費の水増しが行われた場合のほか,保存された取引データの内容が事業実態を表していないような場合(架空取引等)も重加算税の加重対象となります。

【解説】

重加算税の加重措置の対象範囲については,取扱通達8-21を確認してください。

なお,電子帳簿保存法における電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務者は所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税の保存義務者に限られますが,消費税法令において保存することとされている電子データに関連して改ざん等の不正が把握された場合にも,法第8条第5項(電磁的記録の記録事項に関連した仮装・隠蔽の場合の重加算税の加重措置)と同様に,重加算税が10%加重される( 消費税法59の2 )など,消費税法令において電磁的記録に関する取扱いを個別に規定しているものもあります。

41  電子取引等において,「災害その他やむを得ない事情」を証明した場合に保存要件が不要となる旨の規定が設けられていますが,そのような事情があれば,電磁的記録の保存自体不要になるのでしょうか。

保存義務が免除されるものではありませんので,電磁的記録の保存は必要になります。

【解説】

規則第4条第3項の規定は,災害その他やむを得ない事情により,保存要件に従って電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明した場合には,電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件を満たさなくても保存ができることを規定したものであり,保存義務が免除されているものではありません。

したがって,(検索機能の確保等の要件を満たせなくても)最低限,電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しておく必要があり,当該電磁的記録を完全に消失してしまっている場合については,保存すべき電磁的記録の保存がないこととなります。

なお,電磁的記録については,災害等によりデータを保存していたパソコン本体が棄損した場合等,紙に比べてその確認が困難となる場面も多く想定されることから,納税者の責めに帰すべき事由がないときには,単に電磁的記録が存在しないことのみをもって,義務違反を問うことはありませんが,仮に当該電磁的記録が消失してしまった場合であっても,可能な範囲で合理的な方法(取引の相手先や金融機関等へ取引内容を照会するなど)により保存すべき取引情報を復元していただきたいと考えています。

おって,災害その他やむを得ない事情が止んだ後に行う電子取引については,規則第4条第3項の規定の適用はありません。そのため,電子取引の取引情報に係る電磁的記録について保存要件を備えた上で保存する必要がありますので注意してください。

(注)  消費税法の「課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等」については,災害その他やむを得ない事情により,当該保存をすることができなかったことを事業者において証明した場合は,保存が不要とされているため,その請求書等のやり取りが電子取引により行われた場合のその電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存がなかった場合も同様(必ずしも復元は不要)の取扱いとなります。

42  電子取引の取引情報に係る電磁的記録について保存要件を満たして保存できないため,全て書面等に出力して保存していますが,これでは保存義務を果たしていることにはならないため青色申告の承認が取り消されてしまうのでしょうか。また,その電磁的記録や書面等は税務調査においてどのように取り扱われるのでしょうか。

令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録については,その電磁的記録を出力した書面等による保存をもって,当該電磁的記録の保存に代えることはできません。

したがって,災害等による事情がなく,その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は,青色申告の承認の取消対象となり得ます。

なお,青色申告の承認の取消しについては,違反の程度等を総合勘案の上,真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上,その適用を判断しています。

また,その電磁的記録を要件に従って保存していない場合やその電磁的記録を出力した書面等を保存している場合については,その電磁的記録や書面等は,国税関係書類以外の書類とみなされません。

ただし,その申告内容の適正性については,税務調査において,納税者からの追加的な説明や資料提出,取引先の情報等を総合勘案して確認することとなります。

【解説】

電子取引の取引情報に係る電磁的記録については,法第7条の規定により保存義務が課されていることから,その電磁的記録を保存する必要があります。そして,電子取引の取引情報に係る電磁的記録について要件を満たさず保存している場合や,その電磁的記録の保存に代えて書面出力を行っていた場合(※)には,保存すべき電磁的記録の保存がなかったものとして,青色申告の承認の取消の対象となり得ますので注意してください。

 令和3年度の税制改正前の電子取引の取引情報に係る電磁的記録を書面等に出力することにより保存を認める取扱いは廃止されています。

なお,青色申告の承認の取消しについては,「個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」に基づき,真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上で行うこととしています。

また,電磁的記録を要件に従って保存していない場合やその電磁的記録を出力した書面を保存している場合において,その要件に従って保存がされていない電磁的記録や出力した書面等については,他者から受領した電子データとの同一性が担保されないことから国税関係書類以外の書類とみなされません。

ただし,その申告内容の適正性については,税務調査において納税者からの追加的な説明や資料提出,取引先の情報等を総合勘案して確認することとなります。

なお,消費税に係る保存義務者が行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存については,その保存の有無が税額計算に影響を及ぼすことなどを勘案して,改正後も引き続き,その電磁的記録を出力した書面による保存が可能とされています。