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[全文公開] 年末調整の電子化と団体扱い保険

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年末調整の電子化が昨年10月にスタートしてから,令和3年分で2度目の年末調整を迎える。国税庁が今年10月にリリース予定の令和3年分年調ソフトでは,企業が各従業員の保険料を毎月の給料から天引きして保険会社に一括して支払う形態の「団体扱い保険」の電子化が初めて可能となり,給与担当者の更なる負担軽減が期待される。

年末調整の電子化とは,国税庁が無償で提供する年調ソフト等を利用することで,従来は主として紙ベースで行われていた手続きをデータで行うことができるもの。給与担当者は,電子化により配偶者(特別)控除額等の検算が不要になり,また,書類として保管するコストが削減できる等のメリットを享受できる。

前年分の団体扱い保険については,電子化していても各従業員が年調ソフトに情報を手入力する必要があり,給与担当者はその入力に誤りがないかを確認しなければならず事務負担が大きかった。

令和3年分年調ソフトでは,保険会社から支払情報をデータで受領することで,年調ソフトで読み込み可能な形式のデータにして各従業員に配布できるようになるため,従業員の手入力作業が省略できる。読み込み可能なデータを作成するには,以下①②の手続きが必要だ(国税庁「年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するFAQ」問2-17)。

①年調ソフトの“管理者メニュー”から“団体扱い保険支払情報のインポート”を選択し,保険会社から受領したデータを読み込む

②“電子的控除証明書等作成ソフト”に①で作成されたデータを読み込み,給与担当者等の電子署名を付与した控除証明書等データを作成

受領した支払情報が紙である場合,スキャンしてPDF化したもの等を①に読み込むことはできないため,保険会社にデータで受領したい旨を事前に伝えておくことが望ましい。