[全文公開] 資料 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(3年12月更新分)
(令和3年12月・国税庁)
(編注) 令和3年12月更新分のみ抜粋して掲載しています(変更箇所に下線)。
Ⅱ 適用要件
【基本的事項】
14 税務当局から 電子データ の書面への出力を求められた場合には,画面印刷(いわゆるハードコピー)による方法も認められますか。
規則第2条第2項第2号において, 電子データ の画面及び書面への出力は「整然とした形式及び明瞭な状態で,速やかに出力することができる」ことと規定されており,この場合の「整然とした形式」とは,書面により作成される場合の帳簿書類に準じた規則性を有する形式をいいます(取扱通達4-8)。
そのため,整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できれば,画面印刷(いわゆるハードコピー)であっても認められます。
なお,この取扱いは,画面及び書面に出力することができるようにしておくことを意味するものであり, 原則として, 電子取引に係る 電子データ を出力した書面等を保存することを認めるものではありませんので注意してください。
ただし,令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に電子取引を行う場合には,授受した電子データについて要件に従って保存をすることができないことについて,納税地等の所轄税務署長がやむを得ない事情があると認め,かつ,保存義務者が税務調査等の際に,税務職員からの求めに応じ,その電子データを整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面の提示又は提出をすることができる場合には,その保存要件にかかわらず電子データの保存が可能となり,また,その電子データの保存に代えてその電子データを出力することにより作成した書面による保存をすることも認められます(【問41-3】参照。)。
【解説】
税務調査の際の 電子データ の画面及び書面への出力に当たっては,書面により作成される場合の帳簿書類に準じた規則性を有する形式になっている必要がありますが,その形式については定めがないため,画面印刷(いわゆるハードコピー)であっても要件を満たせば認められます。
【その他】
41 電子取引等において,「災害その他やむを得ない事情」を証明した場合に保存要件が不要となる旨の規定が設けられていますが,そのような事情があれば,電磁的記録の保存自体不要になるのでしょうか。
この場合については, 保存義務が免除されるものではありませんので,電磁的記録の保存は必要になります。
【解説】
規則第4条第3項の規定は,災害その他やむを得ない事情により,保存要件に従って電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明した場合には,電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件を満たさなくても保存ができることを規定したものであり,保存義務が免除されているものではありません。
したがって,(検索機能の確保等の要件を満たせなくても)最低限,電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しておく必要があり,当該電磁的記録を完全に消失してしまっている場合については,保存すべき電磁的記録の保存がないこととなります。
なお,電磁的記録については,災害等によりデータを保存していたパソコン本体が棄損した場合等,紙に比べてその確認が困難となる場面も多く想定されることから,納税者の責めに帰すべき事由がないときには,単に電磁的記録が存在しないことのみをもって,義務違反を問うことはありませんが,仮に当該電磁的記録が消失してしまった場合であっても,可能な範囲で合理的な方法(取引の相手先や金融機関等へ取引内容を照会するなど)により保存すべき取引情報を復元していただきたいと考えています。
おって,災害その他やむを得ない事情が止んだ後に行う電子取引については,規則第4条第3項の規定の適用はありません。そのため,電子取引の取引情報に係る電磁的記録について保存要件を備えた上で保存する必要がありますので注意してください。
(注) | 消費税法の「課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等」については,災害その他やむを得ない事情により,当該保存をすることができなかったことを事業者において証明した場合は,保存が不要とされているため,その請求書等のやり取りが電子取引により行われた場合のその電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存がなかった場合も同様(必ずしも復元は不要)の取扱いとなります。 |
41-2 当面,電子取引の取引情報に係る電子データ保存への対応が間に合いませんが,どのような対応をすればいいでしょうか。
令和4年度税制改正で経過措置として整備された宥恕措置を踏まえ,令和5年12月31日までに行う電子取引については,保存すべき電子データを書面に出力して保存し,税務調査等の際に提示又は提出ができるようにしておいていただければ差し支えありません。
なお,令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報については要件に従った電子データの保存が必要ですので,そのために必要な準備をお願いします。
【解説】
令和3年度税制改正で,従前認められていた,電子取引の取引情報に係る電子データを出力することにより作成した書面等の保存をもって,その電子データの保存に代えることができる措置(電子データの出力書面等による保存措置)が廃止されましたが,令和4年度税制改正においては,その電子データの保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意し,引き続きその出力書面等による保存を可能とするための措置が講じられています。
具体的には,電子取引の取引情報に係る電子データの保存に関する当面の宥恕措置として,令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき,その電子取引の取引情報に係る電子データを保存要件に従って保存をすることができなかったことについて,納税地等の所轄税務署長がやむを得ない事情があると認め,かつ,その保存義務者が税務調査等の際にその電子データの出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には,その保存要件にかかわらず,その電子データの保存をすることができることとする経過措置が講じられたものです。
(参考)
この宥恕措置の適用にあたっては,保存要件に従って保存をすることができなかったことに関するやむを得ない事情を確認させていただく場合もありますが,仮に税務調査等の際に,税務職員から確認等があった場合には,各事業者における対応状況や今後の見通しなどを,具体的でなくても結構ですので適宜お知らせいただければ差し支えありません。
41-3 電子データを授受した場合であっても,令和5年12月31日までの間は,やむを得ない事情があれば,出力することにより作成した書面による保存が認められるのでしょうか。
令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に電子取引を行う場合には,授受した電子データについて要件に従って保存をすることができないことについて,納税地等の所轄税務署長がやむを得ない事情があると認め,かつ,保存義務者が税務調査等の際に,税務職員からの求めに応じ,その電子データを整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面の提示又は提出をすることができる場合には,その保存要件にかかわらず電子データの保存が可能となり,また,その電子データの保存に代えてその電子データを出力することにより作成した書面による保存をすることも認められます。
なお,上記の取扱いを受けるに当たり税務署への事前申請等の手続は必要ありません。
【解説】
電子データの保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意し,引き続きその出力書面等による保存を可能とするよう,令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に行う電子取引については,保存に係るシステム等や社内のワークフローの整備が間に合わない等のように,その電子取引の取引情報に係る電子データを保存要件に従って保存することができなかったことについて,納税地等の所轄税務署長がやむを得ない事情があると認め,かつ,保存義務者が税務調査等の際に,その電子データの出力書面等(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限ります。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には,その保存要件にかかわらず電子データの保存が可能となり,また,その電子データの保存に代えてその電子データを出力することにより作成した書面等による保存をすることも認められます。
この取扱いは令和5年12月31日までと期間を区切って認められているものであることから,事業者の皆様におかれては,令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報については保存要件に従ってその電磁的記録の保存ができるよう必要な準備をお願いします。
(参考1)
上記の「やむを得ない事情」には,その時点までに要件に従って電磁的記録の保存を行うための準備を整えることが困難な事情等が該当します(取扱通達7-10)。
(参考2)
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和3年財務省令第25号)附則第2条第3項《経過措置》の規定により読み替え て 適用される規則第4条第3項ただし書《電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に関する宥恕措置》では,この宥恕措置における「やむを得ない事情」が生じなかった場合において,保存要件に従って電子データの保存をすることができなかったと認められるときは,この限りではないとされています。この規定が適用される場面としては,例えば,令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報についても保存要件に従って電子データの保存を行わないことを明らかにしている場合等が該当します。
41-4 やむを得ない事情が認められ,かつ,整然とした形式及び明瞭な状態で出力された書面の提示又は提出の求めに応じることができれば,電子データによる保存をしていなくても要件違反にならないとのことですが,「整然とした形式及び明瞭な状態で出力された書面」とはどのようなものでしょうか。また,「保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録を出力することにより作成した書面…の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている」とありますが,具体的にはどのような対応が求められるのでしょうか。
規則第2条第2項第2号において,電磁的記録の画面及び書面への出力は「整然とした形式及び明瞭な状態で,速やかに出力することができる」必要があると規定されており,電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和3年財務省令第25号)附則第2条第3項《経過措置》の規定により読み替えて適用される規則第4条第3項《電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に関する宥恕措置》の規定による宥恕措置における「整然とした形式及び明瞭な状態で出力された書面」についても,同号における「整然とした形式及び明瞭な状態」と同様に,書面により作成された場合に準じた規則性を有する形式で出力され,かつ,出力された文字を容易に識別することができる状態をいいます。
また,「保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録を出力することにより作成した書面…の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている」については,税務調査等の際に,税務職員の求めに応じ,その電子データを出力することにより作成した書面の提示又は提出をしていただく必要があります。
【解説】
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和3年財務省令第25号)附則第2条第3項《経過措置》の規定により読み替えて適用される規則第4条第3項《電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に関する宥恕措置》に規定する,「整然とした形式及び明瞭な状態」とは,書面により作成される場合に準じた規則性を有する形式で出力され,かつ,出力される文字を容易に識別することができる状態をいいます。
また,「保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録を出力することにより作成した書面…の提示又は提出の要求に応じることができるようにしている」については,税務調査等の際に,税務職員の求めに応じ,その電磁的記録(電子データ)を出力することにより作成した書面の提示又は提出に応じていただく必要があります。
なお,令和3年度税制改正前(令和4年1月1日前)においては,電子取引の取引情報に係る電子データを出力することにより作成した書面については,その取引情報の受領が書面により行われたとした場合又はその取引情報の送付が書面により行われ,その写しが作成されたとした場合に,国税に関する法律の規定により,その書面を保存すべきこととなる場所に,その書面を保存すべきこととなる期間,保存を行うこととされていました。令和4年度税制改正で整備された宥恕措置により,税務調査等の際に,税務職員の求めに応じて提示又は提出をしていただく必要がある書面についても,令和3年度税制改正前の取扱いや,その提示又は提出を遅滞なく行っていただく必要があることを踏まえると,税務調査等が行われうる期間,適正な場所で保存を行っていただく必要があります。
41-5 やむを得ない事情が認められ,かつ,出力することにより作成した書面の提示又は提出に応じることができれば,電子データによる保存をしていなくても要件違反にならないとのことですが,事前に税務署への申請等をすることは必要でしょうか。
やむを得ない事情の有無や出力された書面については,必要に応じて税務調査等の際に確認することとしており,事前に税務署への申請等をすることは必要ありません。
42 電子取引の取引情報に係る電磁的記録について保存要件を満たして保存できないため,全て書面等に出力して保存していますが,これでは保存義務を果たしていることにはならないため青色申告の承認が取り消されてしまうのでしょうか。また,その電磁的記録や書面等は税務調査においてどのように取り扱われるのでしょうか。
令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に電子取引を行う場合には,授受した電子データについて要件に従って保存をすることができないことについて,納税地等の所轄税務署長がやむを得ない事情があると認め,かつ,保存義務者が税務調査等の際に,税務職員からの求めに応じ,その電子データを整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面の提示又は提出をすることができる場合には,その保存要件にかかわらず電子データの保存が可能となり,また,その電子データの保存に代えてその電子データを出力することにより作成した書面による保存をすることも認められます(【問41-3】参照。)。
令和 6 年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録については,その電磁的記録を出力した書面等による保存をもって,当該電磁的記録の保存に代えることはできません。したがって,災害等による事情がなく,その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は,青色申告の承認の取消対象となり得ます。
なお,青色申告の承認の取消しについては,違反の程度等を総合勘案の上,真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上,その適用を判断しています。
また,その電磁的記録を要件に従って保存していない場合やその電磁的記録を出力した書面等を保存している場合については,その電磁的記録や書面等は,国税関係書類以外の書類とみなされません。
ただし,その申告内容の適正性については,税務調査において,納税者からの追加的な説明や資料提出,取引先の情報等を総合勘案して確認することとなります。
【解説】
電子取引の取引情報に係る電磁的記録については,法第7条の規定により保存義務が課されていることから,その電磁的記録を保存する必要があります。そして,電子取引の取引情報に係る電磁的記録について要件を満たさず保存している場合や,その電磁的記録の保存に代えて書面出力を行っていた場合(※)には,保存すべき電磁的記録の保存がなかったものとして,青色申告の承認の取消の対象となり得ますので注意してください。
※ 令和3年度の税制改正前の電子取引の取引情報に係る電磁的記録を書面等に出力することにより保存を認める取扱いは廃止されています。
なお,青色申告の承認の取消しについては,「個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」に基づき,真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上で行うこととしています。
また,電磁的記録を要件に従って保存していない場合やその電磁的記録を出力した書面を保存している場合において,その要件に従って保存がされていない電磁的記録や出力した書面等については,他者から受領した電子データとの同一性が担保されないことから国税関係書類以外の書類とみなされません。
ただし,その申告内容の適正性については,税務調査において納税者からの追加的な説明や資料提出,取引先の情報等を総合勘案して確認することとなります。
なお,消費税に係る保存義務者が行う電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存については,その保存の有無が税額計算に影響を及ぼすことなどを勘案して,改正後も引き続き,その電磁的記録を出力した書面による保存が可能とされています。
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