[全文公開] 換価の猶予と納税の猶予
新型コロナの影響で納税が困難な者に対して設けられていた納税の猶予制度の特例は,令和3年2月1日までに納期限が到来する国税が対象だった。特例猶予期限終了後に既存の猶予制度に切り替えた件数は4万5,000件を超える(令和4年1月5日現在)。未だコロナ禍は続いており,国税の一時納付が困難な一定の場合には,既存の換価の猶予や納税の猶予を利用できる( №3641 , 3652 等)。
換価の猶予とは,税務署長の判断に基づき,国税を一時に納付することで事業の継続又は生活の維持が困難となるおそれがあると認められる場合に,納税に誠実な意思があり,ほかに滞納がないときは,納期限から6か月以内に申請することで原則1年以内(状況に応じて2年)の猶予が認められる制度( 徴法151の2 )。猶予期間中は延滞税が軽減(令和4年中は年8.7%→0.9%)される。すでに特例猶予を適用しており,猶予期限を迎えるため換価の猶予に切り替えたいが,納期限から6か月が過ぎてしまった場合などには,税務署長の職権による換価の猶予を受けられることがある( 徴法151 )。
また,新型コロナの影響で,やむを得ず事業を休廃業したり著しい損失を受けたりした場合や,感染者の発生した施設で備品や棚卸資産を廃棄した場合など個別の事情があるときは,申請により納税の猶予が認められるケースもある( 通法46 )。この場合には,原則1年以内の猶予が認められ,延滞税は軽減又は免除される。
いずれの猶予も,新型コロナの影響で納税が困難な場合で,担保提供が明らかに可能な状況を除き,担保の提供は不要となる( 通法46 ⑤ただし書,納税の猶予制度FAQ問21)。
なお,令和4年1月4日以降は,スマートフォンやタブレット端末(e-Taxソフト(SP版))からも換価及び納税の猶予の申請が可能となった。申請に当たってはマイナンバーカード(法人は代表者のもの)が必要となる。
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