※ 記事の内容は発行日時点の情報に基づくものです

[全文公開] ウクライナへの支援と寄附金控除

( 69頁)

ロシアのウクライナ侵攻を受け,在日ウクライナ大使館が2月25日に寄附の専用口座を開設するやいなや,15万人以上から寄附金が集まり,3月7日時点で約40億円に達した。その他団体でも寄附を募る動きがあるなか,ウクライナへの寄附で寄附金の控除が受けられるか否かは,寄附した団体先で異なる。

寄附金の控除対象は,個人の寄附が「特定寄附金」に該当する場合に限られる( 所法78 )。具体的には,国や地方公共団体( 所法78 ②一),財務大臣の指定を受けた公益社団法人等( 所法78 ②二),認定NPO法人等( 措法41の18の2 )などが特定寄附金の範囲とされ,寄附先がいずれに該当するかを確認する必要がある。

例えば,ウクライナへの寄附団体の一つである日本赤十字社の場合,同団体が特定公益増進法人に該当することから,控除の対象となる( 所令217 ①二)。一方で,冒頭の在日ウクライナ大使館への寄附の場合, 所得税法第78条 第2項第1号で規定する“国”に諸外国は含まれず,最終的な寄附先が国外に当たることから,控除の対象外となる。

また,寄附による控除額については,寄附した団体が「認定NPO法人等」,「公益社団法人等」などの場合であれば,“寄附金控除”として所得控除を適用するか,“寄附金特別控除”として税額控除を適用するか,いずれか有利な方を選択適用できる。

控除額について,所得控除の場合は「寄附金の合計額-2,000円」(所得金額の40%相当額が上限),税額控除の場合は「(寄附金の合計額-2,000円)×40%」(所得金額の25%相当額が上限)となる。

なお,特定寄附金に該当するその他団体としては3月10日現在,日本ユニセフ協会,国連UNHCR協会,セーブ・ザ・チルドレン等が挙げられる。