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[全文公開] インボイスの早期登録の効果

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インボイス発行事業者の原則的な登録申請手続の締切まで残り1年となったが,登録数は2月末現在で28万3,632件と伸び悩んでいる。課税事業者は,その多くがインボイス発行事業者へ移行するものと想定されているが,移行を既に決めている場合には,早めに登録を行ってもよいだろう。

インボイス発行事業者となるには,所轄税務署長に登録申請書を提出して登録を受ける必要がある( №3672 ・14頁)。制度がスタートする令和5年10月1日に登録を受けようとする(同日からインボイスを交付する)事業者は,原則,令和5年3月31日までに登録申請手続を行うことが必要だ。

登録を早期に行った場合,まず,自社の売手としての対応を早めに終わらせることができる。インボイス制度では,請求書等に登録番号の記載が必要となるが,登録が完了した後であれば,令和5年10月1日を待たずに請求書等に登録番号を記載しても問題ないからだ。早めに対応が終われば,業務の効率化を見据えた電子インボイスの交付なども視野に入ってこよう。

自社だけでなく取引先(買手)の手間を減らすことにもつながる。買手としては,仕入税額控除の可否にかかわる重要事項となるため,特に継続的な取引を行っている事業者に対しては,「インボイス対応する予定があるかを問い合わせる」ことが考えられるが,既に請求書等に登録番号が記載されていれば,国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認することもできるため,そういった問合わせは不要となろう。

なお,法人の場合,登録番号は「T+法人番号」となることが既に明らかになっているが,登録前に請求書等に番号を記載するのはNGだ。受け取った取引先が,記載された番号を同サイトで検索してもヒットせず混乱のもととなるため,番号の記載は登録後にした方がよいだろう。