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[全文公開] 国庫補助金等の用途と圧縮記帳

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新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国等による補助金等の新設や類型の拡充がされ、コロナ禍のために補助金等申請を行った事業者は少なくない。国や地方公共団体から交付される補助金等のうち、交付の目的と実際の用途の両方が“固定資産の取得・改良”の場合に、法人税法上、国庫補助金等の圧縮記帳の適用を受けることができる( 法法42 )。

固定資産の取得等に充てる目的の国庫補助金等の代表的なものとして、例えば、ITツールの導入支援を目的とする「IT導入補助金」や、設備投資支援を目的とする「ものづくり・商業・サービス補助金」などが挙げられる。ただし、特定の収益減少の補てんを目的に交付されるものを、固定資産の取得等に充てた場合は、交付目的が異なることから、圧縮記帳の適用を受けることができないという。

一方、交付目的が固定資産の取得等の補助金等を、固定資産の取得等以外の経費補てんに充てた場合も、圧縮記帳の適用を受けることができない。

例えば、「事業再構築補助金」の補助対象経費には、機械装置等の購入費のほか、税理士等へのコンサルティング費用などが含まれるが、同補助金をコンサル費用のみに充てた場合は圧縮記帳の適用が受けられない。

補助金等の中には、交付業務を国等が事務局等に委託しており、国等からの交付が間接的に行われるケースが多い。

圧縮記帳の対象となる国庫補助金等は、原則、国等から直接交付されるものでなければならないが、間接交付であっても、実質的にみて直接交付と認められれば、国庫補助金等に該当する(国税庁・質疑応答事例「間接交付された国又は地方公共団体の補助金で取得した固定資産の圧縮記帳の適用について」)。