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[全文公開] 法人成りとインボイス発行事業者登録

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令和5年10月以後のインボイス制度下において、インボイス発行事業者として登録済の個人事業者が法人成りをする場合、個人事業者と新規設立した法人は別事業者とされ、登録番号は引き継がれず、それぞれ一定の手続が必要となる。

個人事業者が法人成りをする際の税務上の手続は、「個人事業の廃業」と「法人の設立」に係るものに大別される。消費税に関しては、個人事業者が課税事業者の場合、個人事業の廃業の手続として「事業廃止届出書」等を提出する必要がある( 消法57 ①三)。インボイス発行事業者として登録を受けていた場合には、同届出書等の提出により、事業廃止日の翌日にその登録の効力が失われる(新消法57の2⑩)。

法人の設立の手続としては、設立後2年間は基準期間がなく、原則として免税事業者となるが、事業年度開始日の資本金が1,000万円以上の新設法人等は納税義務が免除されず、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」等の提出が必要だ( 消法57 ②)。

また、インボイス発行事業者の登録は課税事業者しか受けられないため、納税義務が免除される資本金1,000万円未満の法人が設立1年目から登録を受けようとする場合には、課税事業者の選択と登録申請を同時に行える「登録時期の特例」がある(新消令70の4等、インボイスQA12)。適用の際は、課税選択届出書と登録申請書を事業開始日の属する課税期間の末日までに提出し、税務署長によりインボイス発行事業者登録簿への登載が行われれば、事業を開始した課税期間の初日に登録を受けたものとみなされる。

なお、法人成り後、簡易課税を適用したい課税事業者は、事業を開始した課税期間の末日までに簡易課税制度選択届出書を提出することで、その課税期間から適用を受けることができる( 消法37 ①)。