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[全文公開] 任意組合等に係るインボイス対応

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令和5年10月1日から開始のインボイス制度では、売手(適格請求書発行事業者)は課税資産の譲渡等を行った場合、買手の求めに応じ、氏名又は名称等の必要事項を記載したインボイスを交付しなければならない。複数の組合員から成る民法上の任意組合等が組合の事業として行った取引については一定の届出を行った場合にインボイスを交付できるが、必要事項の一つである氏名又は名称等について組合員全員分を記載する必要はない。

組合契約によって成立する任意組合等の場合、組合員全員が適格請求書発行事業者で、民法第670条第3項に規定する業務執行者などの業務執行組合員が、所轄税務署長に「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を提出した場合に限り、インボイスを交付できる(新消法57の6①、新消令70の14①②)。

インボイスについては、任意組合等のいずれかの組合員が交付することができ、交付した組合員が写しの保存を行う。交付するインボイスには原則、組合員全員の氏名又は名称及び登録番号を記載することとなるが、「いずれかの組合員の氏名又は名称及び登録番号(一又は複数の組合員のものでも可)」と「任意組合等の名称」の記載でも認められる(新消令70の14⑤、インボイスQ&A問61)。

ただし、①適格請求書発行事業者ではない新たな組合員が加入した場合、②任意組合等の組合員のいずれかが適格請求書発行事業者でなくなった場合に該当すると、該当日以後の取引に係るインボイスの交付ができなくなる。これら①又は②のいずれかに該当することとなったときは、「任意組合等の組合員が適格請求書発行事業者でなくなった旨等の届出書」を提出する必要がある(新消法57の6②、インボイスQ&A問41)。