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[全文公開] 生産緑地と2022年問題

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生産緑地制度で注目されていた「2022年問題」では、令和4年に全体の約8割の生産緑地で指定から30年が経過し、市町村長への買取の申出が可能となるため、生産緑地が一斉に売却され得る等の懸念があった。ただ、平成4年指定の生産緑地のうち、約88%が引き続き税制優遇を受けられる「特定生産緑地」の指定を受けるという(令和4年3月末時点、見込み含む)。

生産緑地制度は、平成4年の改正生産緑地法に基づき、市街化区域内の一定の農地を都市計画に定め、建築行為等を制限し都市農地の計画的な保全を図るための制度。指定から30年間は営農義務等がある一方、固定資産税の農地課税や相続税等の納税猶予などの税制優遇がある。生産緑地の都市計画の告示から30年を経過する日(申出基準日)以後、特定生産緑地に指定されない場合は、これらの税制優遇を受けられない( 措法70の6 ⑧等)。

指定から30年が経過する生産緑地では、①市町村長への買取の申出、②特定生産緑地の指定、③生産緑地の継続のうち、いずれかを選択することになる。②の特定生産緑地は、申出基準日が到来する生産緑地が令和4年以降に出てくることを踏まえ、平成29年度改正で創設された。申出基準日前に指定を受ける必要があり、指定された場合は買取申出の時期が10年延期され、従前の生産緑地における税制優遇を継続できる( 措法70の6 等)。再延長も可能だ。

特定生産緑地に指定されず、買取の申出もしない場合、引き続き生産緑地としての規制は継続されるものの、従前の税制優遇は受けられない。ただ、固定資産税の5年間の税率軽減や、既に相続税等の納税猶予の適用がある場合、現世代に限り猶予継続等の激変緩和措置が設けられている( 措通70の4-37の2 等)。