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[全文公開] 評価方法の定めのない財産の評価

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相続税や贈与税に係る土地や株式などの財産の価額は通常、路線価など財産評価基本通達に定められた評価方法で評価する。これまで世の中になかった財産が現れた場合など、評価通達に評価方法が定められていない財産は、総則5項(評価方法の定めのない財産の評価)に基づき、評価通達に定められた評価方法に準じて評価することがある。

評価通達の「第一章 総則」では、いわゆる“タワマン節税”などに対応する総則6項(この通達の定めにより難い場合の評価)が知られる。路線価などの評価通達に基づく評価額とタワーマンションの市場価格とが大きくかい離している場合などに、総則6項の適用により、評価通達以外の評価方法(不動産鑑定士の鑑定評価など)を使うべきとして国税当局から更正処分等を受けることがある。

総則5項では、「この通達に評価方法の定めのない財産の価額は、この通達に定める評価方法に準じて評価する」と定めている。個別事案だけでなく、国税当局が新たな財産の評価方法を示す際に総則5項が用いられることがある。最近では、暗号資産の評価方法で適用されている。

暗号資産は、財産的価値があるものとして、相続税や贈与税の課税対象となる(「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」問26)。暗号資産の評価方法は評価通達に定めがないため、総則5項に基づき、評価通達に準じて評価することが示されている(同問27)。具体的には、暗号資産取引所等で活発に取引されている暗号資産は、外国通貨の評価方法( 評基通4-3 )に準じて、取引を行っている暗号資産交換業者が公表する課税時期の取引価格によって評価する。

なお、近年新たに創設され相続税等の課税対象となる配偶者居住権の評価方法は、相続税法に法定されている( 相法23の2 )。