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[全文公開] 台風被害と所得税の軽減措置

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九州地方や静岡県を中心に大きな被害をもたらした台風第14号及び15号により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

台風などの災害により住宅や家財に損害を受けた場合、確定申告で「雑損控除」又は「災害減免法」のどちらか有利な方法で所得税の軽減措置を受けることができる。

雑損控除は、災害等により生活に通常必要な資産(棚卸資産などを除く)に生じた損害が対象で、下記①②のいずれか多い方の金額を所得金額から控除できるもの( 所法72 )。保険金等で補填される金額がある場合は、ここでの損失額から控除して計算する。

①損失額-所得金額×1/10

②損失額のうち災害関連支出金額-5万円

控除額のうち、所得金額から控除しきれない金額がある場合は、翌年以後3年間に繰り越して控除することができるのが、雑損控除のメリットだ。繰り越すには、損失発生年以後連続して確定申告書を提出することが必要となる。

一方、災害減免法は、保険金等控除後の損失額が住宅又は家財の時価の2分の1以上である場合に、所得税額から下記[ア]から[ウ]までの所得区分に応じた金額を軽減又は免除できるもの(災免法2)。ただし、所得金額が1,000万円超の場合は適用することができない。

[ア]所得金額が500万円以下の場合:所得税額の全額

[イ]所得金額が500万円超750万円以下の場合:所得税額の2分の1

[ウ]所得金額が750万円超1,000万円以下の場合:所得税額の4分の1

適用を受けるには、いずれの方法も「り災証明書」を確定申告書に添付することが求められる。同証明書は、り災原因や住宅の被害状況等の記載があり、自治体から発行されるもの。仮に、税務署等の申告会場等で確定申告書を提出する場合は、添付する必要はなく、職員への提示のみでよいとのことだ。

なお、雑損控除を適用する場合、災害関連支出金額に係る領収書も確定申告書に添付等する必要がある。