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[全文公開] マイナポータルと控除証明書

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生命保険等の控除証明書が手元に届き、まもなく年末調整の時期を迎える。書面の控除証明書を用いて手続を行う場合、会社と従業員双方の事務作業量が増えてしまう傾向にあるが、電子化してマイナポータル連携を活用すれば、より手続を簡素化することができる。

マイナポータル連携とは、年末調整や確定申告の各種手続において、マイナポータル経由で複数の控除証明書等のデータを一括取得し、各種申告書の該当項目に自動入力してくれる機能のこと。書類提出時の記載誤り等が防げるほか、年末調整で利用する場合、勤務先による書類の管理コストを軽減することも期待できる。

利用者はあらかじめ、マイナンバーカードの取得とマイナポータルへ連携するための事前設定が必須となる。まず、加入する保険会社等がマイナポータル連携に対応していることを確認し、取得したい証明書等を選択。保険会社等が対応している民間送達サービス(インターネット上の専用ポスト)を選び、連携した民間送達サービスから保険会社等の利用設定を行う。ただ、年末調整手続の利用において、勤務先の給与システム等で活用する場合はシステムの改修等も併せて必要となる。

マイナポータル連携の自動入力の対象範囲は年々拡大し、現在までに、株式の特定口座、住宅ローン控除関係、生命保険、ふるさと納税、地震保険などの各種控除証明書等が対応可能。令和5年1月以降は医療費(1年間分)、公的年金等の源泉徴収票、国民年金保険料が加わり、令和4年分の確定申告から利用できる。将来的には給与所得の源泉徴収票、小規模企業共済等掛金なども対象となる予定だ。

確定申告手続においては、手続の利便性もあって、令和3年分に控除証明書等のデータをマイナポータルから取得した者は約34万人(前年は約3千人で前年比約100倍)に急増している。マイナポータルと連携している証明書等の発行主体一覧は国税庁HPで随時更新中で、利用を検討する際に確認するといいだろう。