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[全文公開] 今週のFAQ(4/11/21)<現行法令での対応困難な調査事例>

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№3727 「政府税調 第9回納税環境整備の専門家会合を開催」で現行法令での対応困難な調査事例に係る問題点が掲載されていますが、具体的にどのような事案があるのですか。

例えば、次のような事案及び問題点等が国税庁より報告されています。

●申告後に仮装隠蔽行為が行われた事例

調査対象者は、法人税の確定申告書を提出後、外注費の計上漏れを理由とした更正の請求を行い、還付金を受領した。

更正の請求には外注費に係る領収書等が添付されていたが、その後の実地調査における反面調査で、架空の領収書等を作成していたものであることが判明。添付された領収書等は、印紙貼付、取引先の社判を模造して使用するなど巧妙に外形が整えられていた。

本事案では更正の請求に係る「仮装隠蔽」行為が認められたが、重加算税の賦課要件は「その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」とされており、重加算税の対象とならない。

●長年にわたって無申告となっていた事例

調査対象者(飲食業)は、5年間で約4億円の売上がありながら開業以来無申告だった。

調査を行ったところ、各種帳簿を適切に作成しており、かつ、申告義務があることも認識していたが、多忙を理由に無申告のままとしていたと主張した。

本事案のように長年にわたり無申告を放置している場合においても、申告時における仮装隠蔽行為や意図的に申告をしないことを外部からもうかがい得る特段の行動が認められたときには重加算税の対象となるが、こうした行為を認定できなければ通常の無申告加算税の対象となる。

(M)