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[全文公開] 所得税還付申告とマイナンバー

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先般、国税庁は、所得税不正還付への対応を示した資料を初公表した( №3730 )。同資料によると、マイナンバーの記載がないまま還付申告書を提出してしまうと、還付の留保期間が長期化するケースがあるという。

マイナンバー制度の導入に伴い、平成28年1月以降に税務署へ提出する申告書等には、マイナンバーの記載が義務付けられたが( 通法124 等)、実務上、記載がない申告書であっても受理される(国税庁「番号制度概要に関するFAQ」Q2-3-2)。

記載のある還付申告書の場合には、マイナンバーに基づき納税者の本人確認を行っている。一方、無記載の場合には、申告書記載の住所や名前等が虚偽でないかなど、架空の人物になりすました不正還付の該当性を判断するため、税務署職員が納税者に対して電話で本人確認を行っている。職員はこのほか、市区町村や行政機関等に対しても納税者の情報を確認することがあるという。これら本人確認に必要な作業に時間を要するため、たとえ不正な還付申告書でなくとも、すぐに確認が取れなければ還付まで半年以上かかるケースもあるようだ。還付申告書の提出前に、マイナンバーが正しく記載されているか確認するべきだろう。

本人確認後、還付申告書に記載された住所等が虚偽で不正が疑われるようなケースでは、自宅での実地調査などに着手する。調査等の結果、詐欺罪等に該当すると判断した場合は、刑事上の責任追及の要否を検討した上で、都道府県警察と連携しながら告訴等を行う。

なお、税務署職員が、マイナンバー無記載の納税者に対して電話確認を行う際、口頭で直接マイナンバーを伺うことはないため、国税庁は、職員を装った不審な電話には注意するよう呼び掛けている。