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[全文公開] 医療機関への協力金と消費税の課税関係

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新型コロナの感染拡大に対応した医療体制を再構築するため、東京都が一定の医療機関に協力金を交付する事業を行っている。消費税の課税関係について気になるところだが、同協力金の場合、消費税は課されない。

消費税の課税対象の要件のうち、協力金等については、対価性の有無の判断が重要になってくる。通達では「事業者が国又は地方公共団体等から受ける奨励金…補助金等のように、特定の政策目的の実現を図るための給付金は、資産の譲渡等の対価に該当しない」( 消基通5-2-15 )と示されている。

同事業の場合、都に登録申請した“協力医療機関”が自宅療養者等への健康観察等を電話等で行い、実績報告書等を提出することで自宅療養者一人当たりの額に応じて協力金が交付される。新型コロナの感染拡大に対処するという政策目的の実現のための交付であって、都が医療機関から役務提供を受けたことの対価として協力金を交付しているわけではないことを踏まえると、対価性はないと判断でき、消費税は課されないという。

厚生労働省は各自治体向けの事務連絡で、新型コロナの感染拡大に対応した医療提供体制の整備を呼び掛けており、同事業もその一環で実施されている。都以外の自治体でも同様の趣旨で事業等を実施して協力金等を交付することが考えられるが、課税対象となるか否かは一概に言えず、事業形態や要綱等を踏まえて判断する必要がある。

例えば、ある自治体と協力医療機関との間で業務委託契約等が結ばれ、その受託の対価として金銭が交付される場合には課税対象となることもあるという。