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[全文公開] 非居住者等による暗号資産取引

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取引の安全性等の理由から、海外に居住しながらも国外の暗号資産交換業者ではなく、日本国内の暗号資産交換業者を取引先に選ぶケースがあろう。非居住者等が保有する暗号資産を国内の交換業者に売却した場合、その所得は日本での課税対象とならない。

非居住者等の場合、日本国内で稼得した国内源泉所得のみが課税対象となる。国内源泉所得のうち、資産の譲渡に係る所得は法令で課税対象が限定列挙されており、例えば、国内不動産の譲渡や内国法人の発行する株式等の譲渡で一定のもの等が該当する( 所法161 ①三、 所令281 )。

ただ、国内の交換業者へ暗号資産を売却したことで生ずる所得は、これらの例示に含まれていない。そのため、非居住者等による暗号資産の売却は資産の譲渡ではあるものの、国内源泉所得の対象となる資産の譲渡に係る所得には当たらず、課税の対象外として、非居住者だけでなく外国法人についても日本で申告をする必要はないという。

昨年末に更新された国税庁の暗号資産FAQでは、非居住者等が国内の交換業者へ暗号資産を売却した場合の課税関係を問う声があったことから、同様の考え方を示す設問を追加している(1-7「非居住者又は外国法人が行う暗号資産取引」)。同設問では、非居住者等が国内の交換業者へ暗号資産を譲渡することで生じた所得の源泉徴収についても対象外としている。

なお、同FAQについては、その他の追加はなく、国税庁が昨年10月に公表した副業収入等に係る改正所得税基本通達( №3724 等)を踏まえ、関連項目の補足(2-2「暗号資産取引の所得区分」)や改訂(2-3「暗号資産の必要経費」)が行われている。