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[全文公開] 非同族の同族会社

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同族会社に該当する場合には、同族会社等の行為計算否認規定( 法法132 ①)の適用対象となるなど、非同族会社にはない一定の制限等を受けることになる。いわゆる“非同族の同族会社”も、法人税法上の同族会社に該当する。

同族会社は、会社の株主等の3人以下並びにこれらと特殊の関係のある個人や法人が発行済株式の50%超を保有している会社とされている( 法法2 十等)。株主等が同族会社か非同族会社であるか等は問わず、上位3グループの株主等に発行済株式の50%超を保有されていれば、同族会社に該当することになる。

“非同族の同族会社”は、現行の法人税法では定義されていないが、前述の同族判定において、株主等の中から非同族会社を除いて判定すると非同族会社になる会社をいう。

例えば、上位3グループの株主である非同族会社A社と同族会社B社、同族会社C社に各20%(合計60%)の発行済株式を保有されているX社は、法人税法上の同族会社に該当する。この点、A社が非同族会社であるため、A社を除いて同族判定を行った場合、B社、C社に保有されている発行済株式は合計40%となり、X社は“非同族の同族会社”となる。

“非同族の同族会社”とはいえ、法人税法上の同族会社に該当するため、同族会社等の行為計算否認規定の適用対象となることなどは、通常の同族会社と同様だ。

なお、令和5年度改正では、株式対価M&A税制の適用対象から、株式交付後の株式交付親会社(買収会社)が同族会社に該当する場合が除外される予定となっている。この同族会社の範囲から“非同族の同族会社”は除かれるため、株式交付後の株式交付親会社が“非同族の同族会社”の場合は、現行と同様に、同税制の適用対象となる( №3743 等、措法(案)66の2)。