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[全文公開] インボイス制度とFIT認定の売電

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「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT制度)は、太陽光等で発電した電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度。同制度を利用するには、国の認定(FIT認定)を受ける必要がある。

10月からインボイス制度が始まることに伴い、令和5年度以降、消費税の課税事業者が新たにFIT認定を受けるには、インボイス発行事業者の登録が必要になる予定という。

FIT認定を受けた売電事業者がインボイス発行事業者の登録を受けない場合、電力会社は、売電事業者が発電した電気の買取りに当たりインボイスの交付を受けることができないため、その取引分の仕入税額控除ができなくなる。そのため、資源エネルギー庁は、課税事業者である売電事業者に対し、インボイス発行事業者としての登録を案内している(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_invoice.html)。

この場合、電力会社が発行する「受給料金のお知らせ」等が消費税法上の「仕入明細書等」となるため、売電事業者が電力会社に対し改めてインボイスを交付する必要はない。ただ、電力会社にインボイスの登録番号を知らせる必要がある。その報告方法等の詳細は、同庁HPで案内する予定という。

一方、消費税の免税事業者である売電事業者については、売電事業においてインボイス発行事業者の登録対応は不要としている。インボイス発行事業者の登録がなくとも、売電に係る現行の買取価格は変更されないという。免税事業者が今後新たにFIT認定を受けようとする場合、インボイス登録をしなくてもFIT認定を受けることが可能だ。

なお、会社員が自宅に設置した太陽光発電設備に係る余剰売電(発電した電力を使用し余った電力を売却)は消費税が課されないため、対応は不要だ。