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[全文公開] 外国会社の登記と日本の代表者

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外国会社が日本で継続した取引を行うときは、会社法上、日本における代表者を定めて登記を行う必要がある。このときの日本における代表者は、必ずしも外国会社の代理人PEに該当するわけではなく、実際の役務提供内容等で個別に判断することになるという。

外国会社が日本で事業を行う際、その利得に対する課税は原則として日本国内にその企業の恒久的施設(PE)があるか否かで判断され、PEはいわゆる支店PE、建設PE、代理人PEに大別される( 法法2 十二の十九)。このうち代理人PEとは、例えば、日本国内で外国法人に代わり事業に関する一定の契約を反復して締結するなどの役割を果たす者(契約締結代理人等)が該当する( 法令4の4 ⑦)。ただし、租税条約において異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける外国会社については、租税条約上のPEの定義が用いられる。

会社法では、外国会社が日本で継続した取引をしようとするときに、日本における代表者を定めて、外国会社の登記をしなければならない( 会社法817 ①、 933 ①)。ここでいう日本における代表者とは、日本に住所を有する者で、「外国会社の日本における業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する」と規定されるため( 同817 ②)、上記の代理人PEに該当すると考える向きもある。

ただ、このPE認定に当たっては、外国会社の事業に係る権限をなんら有さず、裁判に係る送達等行為のみを行う日本の代表者については、日アイルランド租税条約上のPEには該当しないとする文書回答が国税庁HPで公表されたところだ( №3745 )。同租税条約に限らず、PE認定に当たっては、日本における代表者と外国会社との間の役務提供契約等の内容や実際の役務提供行為を踏まえて事実認定を行うため、直ちに代理人PEに該当するわけではないという。